PIC 計測アダプター&データロガーを作ろう

〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜

First Relese: 14th, Feb, 2000
Last Update: 25th, Jul, 2000
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概要

 2000年1月29日と30日の両日、新潟県下田村の越後長野温泉嵐渓荘で開催された「NISOC インターネット合宿」の余暇として、簡単に作れて使える計測アダプタを製作しました。これは、そのときのメモです。


キットについて

 「PIC 計測アダプター&データロガー」は、A/D コンバータを内蔵した PIC マイコン (Micro Controller!) PIC16C711 を利用した、8bit, 4ch の計測アダプタです。電子工作ではお馴染みの秋月電子通商から発売されています。

 このキットの特徴は、次の通りです。
基本的な性能
 8bit, 4ch (max), 誤差± 1LSB, 11520Sample/Sec (max)
 サンプリングが、11520回/秒となっているのは、RS-232C の通信速度に依存しているようです。ということは、4ch 同時に使う場合には、この 4 分の 1 になってしまいます。
 また、non's top page の光永さんから、「PIC-ADC は一文字受信してからサンプリングを開始するので、115.2kbps でも 11.52k sampling/s でないはずです。」と教えていただきました。
簡単なインターフェースとコマンド
 コンピュータとの接続は RS232C (9600-115200bps) で、通信用のコマンド体系も簡単。詳細は、同梱されている PIC マイコンや制御ソフトのソースを参照のこと。
スタンドアロンでの使用
 256k または 64k の EEPROM を内蔵しているので、コンピュータから離れた場所での計測も可能。但し、この場合のサンプリング周期は 1 秒単位。
オペアンプ内蔵
 低バイアスのオペアンプが内蔵されているので、ハイインピーダンスセンサを直に接続できる。ゲインも外部の抵抗で調整可能。
電池不要で・・・
 動作するようなことが説明書に書いてありますが、コンピュータに接続した状態でも、電池がないと動きませんでした。
その他
 今回は合宿用に 5 セットを購入しましたが、内、4 セットに部品の間違いや不足がありました。電話でその旨を伝えたところ、着払で返送してくれとのことでした。驚いたのは、秋月から交換されたキットは、翌日には到着しました。ありがたいです。しかし、秋月のキットにはつきものとはいえ、チョンボ率 80% はなんとかしてもらいたいです。
 この件について、non's top page の光永さんより「不良率ですが、いままで秋月のキットで当たった不足や不良は、ほぼこのキットのCPU不良だけでした。」との御指摘をいただきました。購入した時期やキットの種類、運の善し悪しもあるようですが、NISOC は何かに祟られているんでしょうか。


組み立て

 専用基板があり部品点数も少ないので、ハンダ付けの必要な箇所は、120 くらいです。内、50 が Dsub25 ピンを基板に固定する為のものです。
 勝負所は、説明書にもある通り、ケース (Dsub25 のジェンダチェンジャ大) に収納する為に部品の背を低くすることです。

 特に 3 端子レギュレータとトランジスタの足は、付け根から見事に大股開きにする必要があります。
[大股開きのレギュレータの図]
 あとは、ラジオペンチ等で、しっかりと曲げます。シコを踏んでるような状態になったら問題ないと思います。ちなみに、合宿では、数名が組み立てを行いましたが、酒の勢いで、足を曲げずに基板に差し込んだ皆さんは、見事にやりなおしになりました。
[M 字開脚のレギュレータの図]
 この写真の例で、基板の部品面からトランジスタの上端まで、約 6mm 弱です。うまくいかなかったので上から力を入れたら M 字開脚になってしまいました。

 ところが、レギュレータとトランジスタの取り付けについて、裏ワザの報告がありました。うまくケースに収まらなかった方は、是非、お試し下さい。

 また、半導体類が熱に弱い上、IC ソケット等を使用できないので、初心者の方は、慎重かつ速攻でハンダを付けするよう気合いを入れて下さい。また、ハンダ付けする場所の間隔が狭いので、ブリッジには十分注意して下さい。
 組み立ての順序については、説明書の内容を良く読んでから作業して下さい。

 R3 という 10KΩの抵抗の取り付け方向が、基板上の印刷にあわせると、トランジスタ Q1 と干渉します。逆に取り付けるとすっきり収まります。上の写真中央に見えている抵抗です。
[R3 の取り付けの図]

 ケースに納める前だとこんな感じになります。
[ケースを付ける前の図]

 ケースがプラスチックにメッキを施したもので、開閉を繰り返すと壊れそうな感じです。組み立てに不安があれば、この状態で動作試験を行っても良いと思います。

 ケースに入れて本体完成。
[本体完成の図]

 オマケの温度測定ユニットは、サクっと作ります。このオマケのおかげですぐに楽しめるのはうれしいです。
[温度測定ユニットの図]
 この温度測定ユニット用の半固定抵抗 (青い部品) は、多回転型なので、何周もクルクルまわして調整します。調整には、精密ドライバがあると便利です。

 ただ、このユニットをそのまま使うと、測定部と電池が暴露したまんまで、収まりが悪いです。この問題を改善するため、温度測定ユニットをケースに収納したとの報告がありました。(2000年4月19日追加)


付属ソフト

 このキットには、MS-DOS/Windows95/Windows98 で動作する制御用ソフトがソースとバイナリ両方とも同梱されています。DOS 用のソフトは、COM1/COM2 の各ポートで動作するそうですが、Windows 用の GUI のソフトは、COM1 のみの対応で COM2 では動作しません。(その後、改訂版が出ました。後述。)

 手元にある IBM の Aptiva E143 というパソコンでは、COM1 が内蔵モデムに割り当てられている為、本体背面のシリアルポートは COM2 で動作します。このため、GUI のソフトは使用できませんでした。そこで、DOS 用を使おうと、DOS 窓や、MS-DOS モードで再起動して試しましたが、ロガーとの通信に失敗してしまいます。
 キットには PIC マイコン用のプログラムのソースが付いています。眺めてみると、制御コマンドを処理するルーチンがありました。'?' を受信すると 'PIC-ADC V1.00' という文字列を返してくれそうです。早速、Windows に付属のハイパーターミナルを使って COM2 をオープンし、'?' を送ったところ、'PIC-ADC V1.00' と返事しました。とりあえず、動いているような感じです。でも、電圧が測れなきゃどうしようもありません。
 そこで、Web 上で公開されていた BSD 用の制御ソフトを使ってみたところ、各チャンネルの出力を表示してくれました。先達がおられるのってありがたいです。これで、遊べる範囲が広がりました。でも、せっかくのオマケなので、やっぱり使いたいです。

そこでっ!
 結局、Visual Studio を装備してる知人の会社を訪ねて自力解決となりました。

 Visual Basic のソースを読むと、'Frame_Load' というルーチンがあります。その冒頭部分で、COM ポートを指定していたので、'1' を '2' に変えてビルドッ! そんだけでした。

 その後、秋月電子通商から、PIC-ADC の Windows 版制御用ソフトウェアを COM1 〜 COM6 まで対応したとの連絡をいただきました。問い合わせから 1 週間後のことでした。結構、早かったじゃん! すごいすごい。
 新しいソフトウェアは、秋月電子通商ホームページの「プログラム・ダウンロード」から入手できます。また、秋月電子キット UpDate (http://village.infoweb.ne.jp/~update/)というサイトがありこちらの方が新しいかもしれません。なお、2000年 7月から本家の URL が変更されました。今後、UpDate サイトはどうなるんでしょう。


動作試験

 基本的に説明書通りの手順で試験できます。
 接続には、外付けモデムや TA のケーブルをそのまま使うのが、てっとり早くて良いです。
 説明書にないのですが、GUI 版を起動後、[電圧計モード]というチェックボックスをチェックすると計測を開始します。
 調整は、5〜6 回づつ半固定抵抗をクルクルやると、もっともらしい結果に近付きます。説明書通りに製作した場合、摂氏 25 度で、1.25V になるようにします。

 ThinkPad 600 に Windows 98(SEじゃないやつ) の組合せに 9 ピン <-> 25 ピンの変換コネクタをつけてやるとうまくいかないという報告がありました。コネクタをいろいろ替えてやってみたけどダメで、DOS 用のソフトも同様にダメでだったようです。同じ方法で、デスクトップではうまくいったようです。
 また、「ThinkPad560/Win95(OSR2)とVAIO 505EX/Win98に接続してみましたが、Win用のPic-adcは動作しました。」という報告と共に、上記の問題について「ケーブルとか物理的な問題じゃなくて、やっぱりOSからシリアルが見えていないんじゃあないかなあ。」との意見がありました。


今後の予定

 せっかく 4ch あるので、室温とコンピュータ内部の温度を測って、MRTG してみたいなぁと思います。また、一緒に作ったガイガーカウンタの出力をモニタさせて、環境放射線の定点観測なんかもできそうです。


参考

 次の各サイトは、購入前から大変参考にさせていただきました。感謝。皆様、大変マニアックに工作されております。
 なお、この数年でキットの内容が変化しているようです。上記の各サイトで指摘されている問題の内、いくつかは解決されていました。


リンク


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