IAA 新潟'99 インターネット災害訓練報告書
1999月7の月
新潟インターネット研究会
1995年1月17日に起った阪神・淡路大震災では, パソコン通信の NIFTY-Serve や,NetNews と呼ばれるインターネットを 用いた記事配信システム, World Wide Web 等を用いて,様々な情報交換が行われた[1]. これを契機に,大規模災害時における情報の伝達手段として, コンピュータ・ネットワークが注目されはじめた. その一つの試みとして, WIDE プロジェクト(以下 WIDE)[2] のライフライン・ワーキンググループ[3]では, 災害時にインターネットを利用し 生存者情報を提供することを目的とした IAA(I Am Alive)システムの 研究,開発を行っている. さらに,1996年以降毎年1月17,18日にインターネット災害訓練と題し, IAA システムへの登録,検索の訓練をはじめ,様々な大規模な実験を 行っている. 1998年1月に開催された第3回インターネット災害訓練では, 新潟インターネット研究会(以下 NISOC)は WIDE に協力し, 新潟会場を設置しこの訓練に参加した.
今年は,新潟地震から35年目という節目の年であり, 災害時の情報の提供方法について, より注目を得ることができると期待できることから, NISOC では,IAA システムの普及を目的に6月16日に, 「IAA 新潟'99 インターネット災害訓練」を実施した. 本書は,その訓練に関する報告である.
本節では,はじめに,災害時の情報提供,並びに,通信手段としてのインターネッ トの有効性を述べる.続いて,IAA システムの構成について述べ,最後に,登録, 検索のインターフェイスについて述べる.
大規模な災害が発生した場合に,被災地から情報の提供を行う手段として,現在 最も広く用いられているメディアは,ラジオ,テレビ等の無線による放送である. これは,情報の発信と受信に必要な装置が,無線の発信機と,ラジオ,テレビ等 の受信機のみであり,なおかつ受信機は広く普及しているという利点があるため である.しかし,これらのメディアから得られる情報は,放送局の記者が集めた もの,もしくは,行政が発表した情報がほとんどであり,被災者自身が欲しい情 報,もしくは,被災地にいる知人の安否等のような情報を選択的に提供すること はできない.
個人的な情報を提供するメディアとして,電話が挙げられる.携帯電話や PHS, 臨時に設置された公衆電話等を用いて,被災地から自分達の安否を知人に報告す ることができる.しかし,接続可能な通話数は限られており,しばしば不通となっ たり混信等が発生する.
また,多くの既存メディアでは,通信中に障害が発生した場合,その情報の多く が消失してしまうことが考えられる.
これらの既存メディアの他に,コンピュータネットワーク,特にインターネット を用いた災害時の情報提供システムが研究されている.災害時における通信メディ アとしてのインターネットの利点として,以下のようなことが挙げられる.
インターネットに接続する手段として,専用線,一般電話網,携帯電話網, PHS 網等が使用できる.これらの回線は,災害発生後比較的早く復旧するた め[4],迅速な情報の提供が可能である.
また,インターネット内での通信では,専用線や,衛星回線(1998年1月の 第3回インターネット災害訓練において実験が行われた)等の様々な通信路 を使用することができ,なおかつ,その伝達経路を柔軟に変更することがで きる.
インターネットに接続された回線が一つだけあれば,そこに複数の端末を接 続し,多人数で共用することができる.これにより,個々人が電話をかける ことによって発生する,回線の不足という問題が解消できる.
近年,インターネット接続機能を持つ携帯端末(モバイル端末)が普及して きた.この端末を災害時においても,そのままインターネットに接続可能な 端末として使用できる.
また,電力供給は比較的早く復旧することが見込めるため,パーソナルコン ピュータ等の電源を使用するものであっても,災害発生後の早い時期に使用 可能となることが期待できる.
紙や,口頭で情報を伝達する場合と異なり,複数のコンピュータで,正確 に同じ情報を容易に共有することができる.これにより,情報が伝達過程に おいて変化してしまうことが防ぐことができる.
テレビ,ラジオ放送のような,受信するだけのメディアと異なり, インターネットでは個人単位で情報を発信することができる.
インターネットでは,一時的或いは断続的な通信不能状態が,頻繁に発生し ている.そのため,情報流通の維持や回復の方法について,十分な研究がな され,実用化されている.このことから,災害時の不安定な通信環境におい ても,その機能を維持することが可能である.
また,インターネットは従来のパソコン通信などと違い,2つの地点間の通 信経路を動的に変更することが可能である.このため,ある経路が災害で切 断された場合でも,容易に迂回路を設定でき,情報提供が迅速に再開するこ とができる.
インターネットのこのような利点を生かし,大規模災害時に,生存者情報を提供 するための IAA システムが研究,開発されてきた.IAA システムは次のような 利点が挙げられる.
通信の為に必要な回線の選択肢が広く,復旧も早いことから,災害発生後に 迅速な情報提供ができる.また,近年の端末の普及に伴い,サービスを利用 できる環境も充実しつつある.
情報の共有が容易であるという利点を生かして,同じ情報を複数のコンピュー タに分散させ,システムの堅牢性とアクセスの負荷分散を行うことができる.
テレビやラジオ放送と異なり,自分で欲しいデータを検索することが可能で ある.また,情報の発信も個人単位で行えることから,必要な情報のみを選 択的かつ的確に流通させることができる.
IAA システムは,災害時に生存者情報の登録並びに検索を行うために作成された システムである.このようなシステムでは,(1)故障等に対するシステムの堅牢 性,並びに,(2)負荷分散による応答時間の高速化が要求される. IAA システムでは,堅牢性を実現するために,クラスタと呼ばれる生存者情報デー タベースへの登録及び検索等の管理を行うサーバを,日本各地に複数台分散して 設置している.今回使用したシステムでは,慶應義塾大学,北陸先端科学技術大 学院大学,倉敷芸術科学大学,静岡大学,小樽商科大学に計6台のクラスタが設 置されていた. また,負荷分散を実現するために,クラスタのホスト名 www.iaa.wide.ad.jp を 参照するたびに,上記の6台のクラスタのうちのどれか一つが参照されるような 仕組み(ラウンドロビン)になっている.
1996年以降,毎年1月17,18日に行われている,WIDE プロジェクト主催の インターネット災害訓練では,次の4つ登録及び検索方法が用意されている.
ただし,今回は WIDE が提供しているトライアル版を使用したため, (1)の Web ブラウザを用いる方法のみ使用可能とした. (それ以外の登録,検索方法については,NISOC 第3回インターネット 災害訓練報告書[5]参照)
今回の IAA 新潟'99 では,次の2点を目的として開催した.
IAA システムのようなデータベースがうまく機能するには,多くの情報を登 録してもらうことが重要である.また,IAA システムは未だ開発段階であり, 改良すべき点が多く存在する.そのため,IAA システムの存在を多くの人に 知ってもらい,実際に使用してもらうこと,そして,意見を聞くことが必要 である.今回の訓練では,IAA システムの普及活動を今回の訓練の第一の目 的とした.
IAA システムの堅牢さを向上させ,負荷を分散させるためには,クラスタの 数を増すことが重要である.また,災害が発生した場合,通信網が一時的に 分断され,クラスタにアクセスできなくなる可能性がある.このような場合, 被災地にてクラスタを立ち上げ,一時的にそこに生存者情報を保存しておく ことで,通信網が回復した際の情報の更新をすみやかに行うことが可能とな る.そこで, NISOC の WWW サーバ,並びに,臨時登録・検索所にてクラス タを立ち上げ,現在動作している他のクラスタと連携させる訓練を行う.
上記の2つの目的を達成するため,次のような訓練内容を企画した.
臨時登録・検索所の開設し,訪れた人にIAA システムについての説明を行い, 実際に体験してもらい,意見を聞く.
NISOC のサーバマシン(sanmon.nisoc.or.jp)において,予めクラスタを立 ち上げ,現在動作しているクラスタとの連携をとり,当日使用してもらう. また,当日会場にて,ノートパソコンを用いて,クラスタの設定,既存クラ スタとの連携を行う.
本イベントに関するプレスリリースを作成し, 新聞各社に配布した.
新潟インターネット研究会の WWW サーバ(http://www.nisoc.or.jp)に, 本イベントのお知せ,並びに,IAA システムへのリンクを作成し,当日 会場に来ることができない方々にも,インターネットを使って体験でき るようにした.
事前に新潟日報から取材を受け,本イベントに関する記事が6月7日の新 潟日報に掲載された.また,この記事が掲載されたことにより,当日テ レビ民放各局からの取材を受けた.
IAA システムについての意見を聞くためのアンケートを作成した.また, 会場に来ることができないが,インターネットを通じて,IAA システム を体験した方の意見も聞くため,同様の内容を Web ページにも掲載し, アンケート結果を収集できるようにした.
会場に来られた方々に対する IAA の説明を助けるために,IAA システム の概要を表した看板,並びに,プレゼンテーション用のデータを PowerPoint を用いて作成した.
新潟インターネット研究会主催の公開 メーリングリスト niigata-inet において, メーリングリスト参加者への公告と,広報協力の依頼を行った.
現在公開されている IAA システムの情報のみを基に,次のようなプログラ ムを試作した.
現在の IAA システムで提供されているインターフェイスは,電子メー ルによるインターフェース以外では,一度に多数の生存者情報を登録す る用途には向かない.しかし,被災地において生存者情報を登録する際 には,個々人がそれぞれ端末を用いて登録するのではなく,(コンピュー タ操作の得意な)代表者が一括して,情報を入力,登録する方法が現実 的である.このような用途に用いるために,コマンドライン版の IAA インターフェイスプログラムを試作した.このプログラムと,エディタ もしくは表計算ソフトウェア等の登録担当者が使いやすいデータ入力プ ログラムを組み合わせることで,登録作業をすみやかに行うことができる.
プログラムは,IAA の登録用の Web ページに接続し,CGI の仕組みを 用いて登録する方法をとっている.今後 WIDE プロジェクトから詳しい 仕様が公開されれば,Web を介することなく,直接 IAA データベース に登録することも可能である.
生存者情報登録用コマンドライン版インターフェースと共に,検索用の コマンドライン版インターフェースを作成した.このプログラムは,検 索キーを引数に取り,検索結果を画面に出力するものである.
このプログラムの応用例としては,音声認識並びに音声合成ソフトウェ アと組み合わせて,キーボードを用いず,声のみで生存者情報を検索す るプログラム等が挙げられる.
被災地においてはインターネットの接続に用いていた回線が不通になる ことは,頻繁に起りうる事態である.このような場合でも,登録作業を 滞らせないために,登録された情報を保存しておき,回線が通じた場合 に,すみやかにデータを反映させるという機能だけを持ったサーバを立ち あげることを考えた.
今回試作したものは,Web インターフェイスのみである.ブラウザで接 続すると,実際の登録ページとほぼ同じページが表示され,生存者情報 の登録のみを行うことができる.また,Web の CGI を用いているため, 上記の「生存者情報登録用コマンドライン版インターフェース」プログ ラムを用いて,この擬似サーバに一括登録を行うことも可能である.
ネットワーク構成は図1 の通り.
アンケートの解答者数は,会場14人,Web20人合計34人であった. 以下では,アンケート結果に基づき,IAA システムの課題と問題点 等について考察する.
[質問] 登録項目について
多い | ちょうど良い | 少ない | 無回答 |
7 | 21 | 3 | 3 |
その他の意見にあるように,本人を特定するための情報として,姿の 画像データを登録することも可能ではあるが,これに伴いデータ量と通 信量は増加するという問題がある. 被災地で確保された通信路で,大量の画像データを送ることができるの か,また,被災地で画像を取得しデータをコンピュータに取り込む方法 があるかといった問題がある.
[質問] 登録・検索評価
わかりやすい | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | わかりずらい | 無回答 |
11 | 7 | 14 | 0 | 1 | 1 |
[質問] 今回は「安否確認」システムの実験を行いましたが,あなた,もしくは,あ なたの関係するどなたかが被災者となった場合に,やりとりが必要と思う情報に はどんなものがありますか?(複数回答可)
自分や家族の周辺の被害状況 | 27 |
交通機関・道路の状況 | 21 |
避難場所からの各種要請(救援物資,救護,ボランティア) | 19 |
電気・水道・ガス等のライフラインの復旧状況 | 18 |
行政機関からの案内 | 14 |
生活情報の案内(風呂,店舗,金融機関等の状況) | 12 |
また,「避難場所からの各種要請(救援物資,救護,ボランティア)」につい ては,個人(もしくは,小さなグループ)単位でも情報を発進できるという, インターネットの持つ特性を生かすことができる.しかし,要請されたものや 人を要請された場所へ正しく届けるには,行政との強い連係が必要である.
その他に多い意見としては, 「交通機関・道路の状況」, 「電気・水道・ガス等のライフラインの復旧状況」 などの公共性の高い情報の提供が望まれている. しかし,このような情報は,誰もが知りたい情報であり, IAA システムのような,必要な情報を検索するという選択的な メディアの枠内でこのような情報を提供すべきかどうかは, 議論の余地がある.
[質問] このようなシステムは御自宅以外のどのような場所で使える事が望 ましいと思いますか?
避難所 | 33 |
コンビニエンス・ストア | 19 |
公的施設(区市町村役場,公民館等) | 17 |
学校 | 15 |
郵便局 | 12 |
駅舎 | 8 |
企業 | 7 |
デパート等の商業施設の一角 | 7 |
大型ビル街の一角 | 4 |
公的施設や学校を抑えて, 2番目に「コンビニエンス・ストア」が来ているのが興味深い. 確かに,コンビニエンス・ストアはネットワーク(ISDN網)が引かれており, ネットワークに接続するための場所として適している.端末の設置場所という 意味でも,多くの人にこのシステムを知ってもらうという意味でも,今後, 「コンビニエンス・ストア」をうまく利用する必要があるだろう.
[質問] このようなシステムを利用する場合,問題だと思うところはどこですか?
電源が確保できないと使えないのではないか | 24 |
(現在の)避難場所等でインターネットへの接続性が確保できているか | 23 |
災害時にパソコンがすぐに準備できないのではないか | 17 |
情報が正しいものかどうか判別できないのではないか | 13 |
情報ボランティアのような詳しい人のサポートが必要なのではないか | 13 |
災害弱者に対する配慮がもっと必要なのではないか | 9 |
組織単位の一括登録・検索機能が別途必要なのではないか | 5 |
普段から動いていないシステムでは災害時に動く保証がないのではない か | 3 |
それよりも問題となるのは「情報が正しいものかどうか判別できないのではな いか」ということである.現在の IAA システムは誰でも情報を登録できるか わりに,その正誤を判断する人や方法はない.これを,複数の人が確認した後, 正しいと思われる情報のみを登録するというようにシステムを変更することも 可能であるが,IAA システムの特徴である,情報の早さが失なわれてしまう. このような,IAA システムの特徴を生かしながら,情報の正確さを高める方法 を検討し,なおかつ,このような情報の正しさに関する IAA システムの特徴 を知ってもらったうえで,システムを使ってもらう必要がある.
[質問] このようなシステムでの個人のプライバシーについて,ご意見をお聞かせく ださい.
この程度の情報は公開されていても問題ないので構わない | 15 |
災害時の間だけ公開されるなら構わない | 9 |
条例や法律で定めるべきである | 3 |
自分のプライバシーが優先だから,自分の情報を公開したくない | 2 |
人によって公開しても良い情報は異なるため,プライバシーという点からみれ ば,必須の項目をなるべく削り,それ以外の項目を任意とする方が好ましい. しかし,データベースの検索という点からみると,個人を特定するためには, できるだけ多くの情報を入力しれもらう方が良く,少ない情報だけではシステ ムが効率良く動作しないということが考えられる.これらの点を考慮し,デー タベースに登録するための項目を検討していく必要がある.
[質問] 操作方法は分かりやすかったですか?(5段階評価)
わかりやすい | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | わかりづらい | 無回答 |
9 | 5 | 14 | 1 | 1 | 4 |
[質問] 前の質問で「わかりづらい」と回答されたかたにお伺いします.どの部分がわ かりにくかったですか?
項目の意味がわかりにくい | 4 |
キーボードの入力が難しかった | 2 |
画面が光って良く見えない | 2 |
文字が小さくて良く見えない | 1 |
反応速度が遅くて困る | 1 |
これまでの IAA システムの研究では,堅牢なシステムのデザインと実装,及 びその実験に重点がおかれていたように思われる. この点に関する目標は,ほぼ現状のシステムで達成されているように見える. 今後,このシステムを使用してもらうためには,ユーザインターフェイスの 充実が大きな課題となるだろう .
[質問] その他自由に御意見をお書きください.
イベント企画時に設定した 2 つの目的について, それぞれ以下のような反省点が挙げられる.
原因として以下のようなことが挙げられる.
今後,このようなイベントを開く際には,次のような点を検討する必要 がある.
事前にテレビ局にはプレスリリースを行わなかったにもかかわらず,す べての民放テレビ局から取材を受けた.その模様は夕方のニュースで放 映された.
取材の際に聞いたところ,事前に新潟日報に掲載された記事を見てこの イベントの存在を知ったとのことで,今回は非常に運が良かった.今後 は,テレビ,ラジオ各局にもプレスリリースを行うことを忘れないよう にしなければならない.
今回はWIDEから IAA クラスタ構築用のソフトが提供されるということで, NISOC としてもこのソフトを利用する方向で計画を立てていたが,WIDE 側 からリリースが遅れる旨のアナウンスがあった。これは今回の IAA 訓練の 大きな目的のひとつであったため,ベータ版でもよいので提供してもらえな いかと打診してみたが,
今後 WIDE からこのソフトがリリースされれば,NISOC としても積極的に利 用していき,よりよいものになるよう WIDE と協力して作業を進める予定で ある.
アンケートの項目中「国籍」を記入する欄について,設問意図がわからない との意見があった.アンケートは,WIDE で作成されたものに多少の変更を 加えたもので,当初から「国籍」についての設問が設けられていた.これに ついては,IAA システムを利用するであろう対象者の国籍を確認し,多国語 対応を目指した設問と考えられたため,そのまま使用した.今後は,「対応 すべき言語」のように設問意図を明確にすべきであろう.
今回の訓練を通じて,IAA システムの様々な問題点が明かになった.
今回の訓練では,WWW による登録並びに検索しか利用できなかった.このた め,データをキーボードで入力する必要があり,それが大きな障害となって いた.
現在のシステムでは,生存者情報を検索する際に,姓と名の両方を必要とす る.これは,姓のみ,もしくは,名のみの検索を許してしまうと,個人情報 を不用意に提供することになってしまう可能性があるためである.しかし, この条件は厳しすぎ,目的の情報の検索を難しくしている.例えば,「○○ 会社の,××さん」といったキーワードで検索したくても,現在のシステム では不可能である.
現在 WIDE が試験運用している IAA システムの登録ページの URL は,
http://www.iaa.wide.ad.jp/DB/IAA-1998/JAPANESE/registry.html
というものであり,非常に分かりにくい.このページにたどりつくためには, この URL を覚えているか,検索ページ等で,適切なキーワードを用いて検 索し,その結果をひとつひとつ試してみるしか方法がない.
実際に災害時に運用するためには,現在,電話で用いられている 171 番等 のように,より分かりやすい方法でアクセスできる必要がある.
ある特定のホストのみから,登録,検索できないという問題が発生した. この原因は,
実際に災害が発生した際に,いつ,だれが,何を基準に本稼動させるのかと いったガイドラインの設定が必要である.また,本稼動に際して,行政,警 察,消防などとの事前の調整が必要となる.
現状で IAA システムの開発では,クラスタで動作するデータベースシステムの 開発に重点が置かれてきたようである.このため,今回のイベントのような, 実際に災害が発生した場合を想定した訓練を行うことにより,クラスタの負荷を かけ,その性能について検討するという実験が行われてきた. しかし,実際に災害が起った場合には,これまでの訓練で行われた以上のアクセ スが発生することが予想される.このためにも,今後も引き続き,定期的により 大規模な IAA システムの運用実験を行い,問題点を洗い出し,改善していくこ とが重要である.
さらに,今後は,
また,実際の災害時には,できるだけすみやかにシステムの運用を開始すること が重要である.実働可能なボランティアの養成などの訓練の拡充.ガイドライン の試作,検討を行う.フォーラムの開催などを通じて,各方面との顔合わせや調 整の場を積極的に設ける.これら社会的側面については,関係各方面の協力を仰 ぎ,協調体制をとれるようにしたい.
今回の訓練実施にあたり,次の各位に多くのご助力を賜りました.心より感謝申 し上げます.
この文書はLaTeX2HTML 翻訳プログラム Version 98.1p1 release (March 2nd, 1998)
Copyright © 1993, 1994, 1995, 1996, 1997, Nikos Drakos, Computer Based Learning Unit, University of Leeds, を日本語化したもの(98.1p1 release (March 2nd, 1998) + JP patch 2.1 (Feb 13th, 1999) 版)を用いて生成されました。
コマンド行は以下の通りでした。:
latex2html -split 1 iaa-rep.tex.
翻訳は Hiroei IMAI によって 平成12年4月6日 に実行されました。