電波時計を作ろう

〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜
First Relese: 19th, Oct, 2000
Last Update: 11th, May, 2001
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概要

 2000 年 10 月 ながらく待っていた電波時計キットが発売になりました。
 NISOC では、過去、Stratum 1 の NTP サーバをあげるべく、挑戦し、くじけて来た歴史があります。「今度こそ!」の思いを込めての製作となりました。
 やっぱし、電子回路の専門家がいないとダメね。なんとかしようよう〜 > だれとわなく。

キットについて

 「電波時計キット」は、1999 年 6 月から運用が始まった長波帯 JJY (標準電波施設) からの電波を受信して正確な時刻を LCD に表示するデジタル時計です。また、RS-232C ポートを装備しているので、パーソナルコンピュータ等から簡単に正確な時刻を参照できます。  キットは、苫小牧のトライステートの製品です。最近まで知らなかったのですが、秋月で発売されているいくつかの商品は、この会社が製造しているようです。ま、苫小牧関係筋のようで、発売は、当然秋月電子通商です。
キットの全景

 このキットの特徴は、次の通りです。
説明書
 キットに付属の説明書には、動作原理の説明や JJY のタイムコードの読み方などの説明が記載されています。
 パーツリストに誤記があります。「クリスタル発振子」が 2 種類ありますが、ふたつある小さな円筒形のクリスタルの部品記号は、X1 と X3 で、PIC マイコン用の大きなクリスタルが X2 です。基板上の記号は問題ありません。
 残念なことに「組み立て実体図」は、写真をコピーしたもので部品の取り付け位置を大雑把に確認する程度にしか役に立ちません。今時なので、見やすいカラーの PDF 版をオンラインで配布していただけるとありがたいですね。(後述しますが、トライステートのサイトを参照して下さい。)
部品等
 秋月のパーツリストつきものの、「部品は余分に入っている場合があります」という記述はありませんでした。製作に先だって数量を確認します。
IC、LCD 等 調整済みのアンテナ スイッチ、コネクタ類
コンデンサ類 LED、トランジスタ、クリスタル発振子等 抵抗類
今回は、見事にピッタリでした。
電源
 電源用レギュレータに 7805 を使用しているので電源の電圧は 7 〜 24V と幅広くなっています。以前作ったデジタル容量計オマケについていた電源アダプタ (12VDC, 200mA) を使用しました。
 説明書には特に電源容量についての注意書きがないので、006P (9V) の乾電池でも問題なさそうです。
ケース等
 アンテナごと金属ケースに収納するのもなんなので、適当なケースを探してます。「秋の夜長に竹の虫かご」とだれかが言った・・・。
その他
 このキットを作りながら、途中、同じ抵抗を並べるのが面倒になってきました。チップ抵抗を取り付けておいてくれればいいのになぁなどと考えていましたが、こういうものを設計している方って「作る楽しみ」と「使う楽しみ」のせめぎあいの中で作業しておられるんじゃないかと思いました。また、私にはあまり興味のない温度計やアラームの機能等を実装されている点など、いろいろな制限の中でより多くのものを収めようという努力をしておられるようで、とてもありがたい気持になりました。感謝。


JJY について

 JJY は、標準電波施設のことで、高精度の周波数と時刻情報を提供しています。この施設は、郵政省通信総合研究所 (CRL)標準計測部周波数標準課で管理運用されています。
 これまで、JJY は、短波帯の電波を利用して送信していましたが、1999 年 6 月 10 日 (時の記念日) から、長波帯でのサービスを開始しました。これに伴い、短波帯でのサービスは、2001 年 3 月いっぱいで終了されます。
 長波帯でのサービスは、福島県田村郡の大鷹鳥谷山 (おおたかどややま) の山頂付近に設置された施設から 40KHz (50KW) で送信され、本州全体をカバーします。
 沖縄方面はどうなるんだろう・・・。
 一応、連続運用ということになってますが、メンテナンス等で停波することも少なくないようです。


組み立て

 足の多い部品はふたつだけですが、この手のものにつきものの似たような回路があるため、ハンダ付けの必要な箇所は、200 程度です。

 基本的に王道通り、抵抗、コンデンサ類から各部品の番号順に取り付けます。基板上の部品記号とパーツリストを見比べながら確実に作業すれば、まず、失敗しないと思います。
 説明書に「リードは基板に最短でカットします」と書かれてるので、最短で実装していたらいくつか問題が発生しました。
 注意事項として、まず、基板上の部品記号の一部が重なって読みづらくなっています。間違えないよう十分確認しながら作業します。
印刷が重なって読みづらい部分 の図
 もうひとつの注意点は、少々やっかいです。部品の干渉が起こりやすい部分が数箇所あります。特に次の各部分については、半田付けする前にはめ込んで確認したり、後で多少曲げられるように足を長めに固定するなどの工夫が必要です。
アンテナのコイル部分と C8 のコンデンサ
 コンデンサ C8 と C9 の足は、1mm 程浮かせておくと良いです。こうしておけば、アンテナを取り付ける際、適当におじぎさせられます。
アンテナのコイル部分と C8 のコンデンサが干渉しそう

赤色 LED とドライバのトランジスタ
 LED のケース下の部分の突起がトランジスタと干渉しそうです。トランジスタを少々前のめりに取り付けた方がすっきりすると思います。
赤色 LED とドライバのトランジスタが干渉しそう

DC ジャックと LCD のコネクタ
 これは思いっきり干渉します。DC ジャックの角を削るしかありません。さもないと写真の例のように DC ジャックを傾けることになります。これが干渉していると LCD が取り付けられません。LCD のコネクタを接続した状態で、DC ジャックの取り付けを調整して下さい。
DC ジャックと LCD のコネクタが思いっきり干渉する
また、LED の足の構造の関係で、緑色 LED の取り付けは、赤色 LED の後で行います。赤色 LED は、足の一部が太くなってるので、緑色 LED を「リードを最短に」なるよう付けてしまうと、高さが揃わずダサイ結果になります。
LED の高さが揃わない の図
少し注意しながらゆっくり作業を進めれば、問題無く基板の実装が完了します。
組み立て完了 の図


調整

 説明書に記載されている方法で調整を行います。といっても、LCD のコントラストを調整するだけです。


動作

 基本的に何もすることは無いので、時刻が表示されるのを待つだけです。

 この電波時計の動作は、地理的条件や周囲の環境に大きく影響を受けます。
 まず、電源の入っているテレビから 1m 以内では、まともに電波を受けることもできません。他にもラジオなど強い電波を発生する機器の周辺では動作しないと思われます。
 今回、組み立てを行ったのは、新潟市内中心部の木造 2 階建アパートの 1 階で、JJY のある福島県方向に大きな遮蔽物はありません。また、周辺には高圧鉄塔などもないので比較的良好な環境です。この条件で、電源を投入すると
組み立て完了 の図
マーカの検出まで約 2〜3 分、(写真の緑色 LED は点滅しています。)
組み立て完了 の図
正常にデコードできるまで、さらに 2 分程度かかります。
組み立て完了 の図
時間帯によっても状況が変わると思われるので、引続き実験する予定です。

 毎正秒、正分、正時、正日、正月には、それぞれの赤色 LED がピカッと光ります。地味に点滅している TCO の緑色 LED に比べるととてもまぶしいです。ちょっと気になるのは、偶然撮影に成功した写真によると正分の LED が光ってるのに時計の表示がズレてる点です。どっちが正しいんだろう・・・。
正分に光ってるのに時計の表示がズレてる の図
時間帯によっても状況が変わると思われるので、引続き実験する予定です。


今後の予定

 しばらくは、いろんなモノに近づけてみたり、時間帯による影響などを調べてみる予定です。また、適当なケースを見つけて収まりよくしてあげたいところです。
 一通り様子がわかれば、コンピュータに接続して、NTP のリファレンスクロックに挑戦です。GPS ほどの精度は期待できませんが、1 万円以内で Stratum 1 ってのはオイシイと思います。
 また、今後、発売が予定されている LAN アダプタ [PICNIC] との接続も試してみたいところです。


・・・と、思ってたら落っことして壊れた。
 LED や LCD の表示が機能しているのですが、電波を捕まえてくれません。調整済のバーアンテナがやられちゃったと思われます。アンテナだけって売ってくれるかなぁ。
 というわけで、このキットは、硬いものの上に数回落すと壊れることがわかりました。


参考



リンク


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