ラー油を作ろう
〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜
First Relese: 8th, Jun, 2000
Last Update: 30th, Jan, 2007
目次
- 概要
- ラー油について
- 調理器具
- 材料
- 調理
- 食べる
- 本格的な応用
- 焦げる話し
- もっともらしい拡張
- 意外な展開
- さらなる拡張
- 手っ取り早く作る
- 参考文献
- リンク
少量のラー油を簡単に作る方法を開発したので、その方法を報告します。
ラー油は中華料理の調味料として重要なもののひとつです。鍋貼餃子 (焼餃子) や担担麺だけでなく、炒飯や春雨サラダなどにあわせても料理を引き立ててくれます。特に生ネギとの相性はすばらしく、一時期流行したネギラーメンでは必須のものとなりました。もちろん、辛いモノ好きな皆様には欠かすことのできない調味料のひとつです。
ラー油の入手は極めて簡単で、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで 150 円前後で売っています。ところが、高級中華料理店などで用意されているラー油は、明らかに風味が違います。もちろん、お店で作っておられるわけですが、一般的なラー油の作り方は、鍋で大量に作るため、同じ方法を自宅で行うと一生分のラー油ができてしまいます。ましてや、失敗したら目も当てられません。そのため、少量のラー油を作ることは、辛いモノ好きや香りモノ好きにとって光明をもたらすことになります。
ラー油は、「辛油」とも書きますが、中国では「辣油」で、「紅油」ともいうそうです。「辣油」の発音は la4-you2 です。読んで字のごとく、唐辛子の辛味と赤い色を油に移したものが基本です。実際のラー油は、数種類の香辛料を加えて香り豊かな調味料となっています。
日本では餃子のタレに付き物ですが、中華料理においては、色と香りを付けるために仕上げに使ったり、食欲を増すために前菜のソースに応用されます。
本稿では「ラー油」で表記を統一します。
なお、ラー油の主成分である唐辛子については、多くの辛いもの好きな皆様が説明されているので、ここでは詳しく触れません。
用意する調理器具は僅かです。一人暮らしの方でも挑戦できる範囲だと思います。
- 猪口
要は小容量の耐熱容器です。この大きさができあがるラー油の量の目安になります。
例の写真に使用した猪口は、愛媛県の砥部焼です。内側が黒くて写真が見づらくなっています。だれか、内側の白い猪口をください。そしたら写真を差し替えます。
- オーブントースター
ガスコンロに付いてるグリルでも大丈夫です。リッチにオーブンレンジがあると便利です。但し、電子レンジはオススメできません。
- その他
箸、包丁、まな板など。
- アルミホイル
猪口の蓋になります。ホコリを防ぐだけでなく、オーブントースターを使用した場合、油の表面を直接加熱させない目的で使用します。
まずは基本形ということで、入手しやすい材料を揃えましょう。凝った材料については後述します。分量はテキトーですが、おおよその目安として、鷹の爪を 10 とした場合の比率を材料名の横に付記します。
- 鷹の爪 (10)
原形を使う場合は香りが出やすいように刻んでおきます。もちろん一味唐辛子でもいいです。種もお好みで入れてしまって問題ありません。いろいろ試して下さい。
辛味を強くしたい場合は、原形を種ごと刻んで使ってください。かなり強烈な仕上がりになります。逆に、香りを優先して、辛味を抑えたい場合は、種を入れない方がよいと思われます。 (12th, Apr, 2005)
- 食用油 (50)
胡麻油だけだと香りが強すぎるのでサラダ油で香りを薄めました。好みでブレンドします。胡麻油は加熱すると風味が飛び易いので、できるだけ最後に加えます。
- 長ネギ (1〜2)
香りを出したいので太ネギ (白ネギ) の上の濃い緑色の部分をみじん切りにしておきます。
- 生姜 (1〜2)
土生姜は、皮の下においしい部分があるので、しっかり泥を落としたら皮ごとみじん切りにします。
- ニンニク (1〜2)
加熱すると焦げやすいので、芯を除いてみじん切りにします。
手順は簡単ですが、鷹の爪の香りを出すため前々日頃から用意します。
- 鷹の爪をもどす。
鷹の爪は乾燥しているものが一般的です。そこで、鷹の爪と同量程度の油でもどしてあげます。少なくとも、一味唐辛子で 1 日、原形の場合には 1 日半以上置いておきます。ウッカリ 1 週間放置しても全く問題ありません。生のものを利用する場合は、もどす必要がないので、そのまま調理できます。
ホコリが入らないようにアルミホイルでしっかり蓋をしましょう。
1 日半経過すると、鷹の爪がもどって柔らかくなるだけでなく、油に色と香りが出てきます。
- 香り材料を加える。
みじん切りにした長ネギ、生姜、ニンニクを加えます。あわせて、残りのサラダ油を加えて混ぜておきます。
- 1 回目の加熱をする。
油を直接加熱しないようアルミホイルの蓋をしたままオーブントースターで加熱します。時間は、容器の種類や油の量に依存します。今回の例では最初に 5 分加熱しました。
実験中、一気に 10 分加熱したところ、ニンニクが少し焦げてしまいました。薄く色づく程度でもかなり香ばしさが出てしまうので、焦がさないよう細心の注意をして下さい。
オーブンレンジを使用する場合は、170〜180 度位の温度で加熱すると良いと思います。
- 胡麻油を加える
ここで胡麻油を加えます。加熱を最小限にすることで胡麻の香りが飛びません。
- 2 回目の加熱をする。
その後 5 分程自然に冷ましてから、もう 3 分加熱しました。
アルミホイルの蓋は、ときどき蓋を取って様子を見ると良いでしょう。プツプツ泡が立っている状態が 5 分程続くと理想的だと思います。やけどには注意して下さい。
なお、胡麻油 100% で作る場合や焦げやすい材料を使っている場合は、2 回目の加熱を行わないか、短時間にした方が良いと思います。
- 冷ます
小 1 時間もすれば冷めるので、これで完成です。油だけを使いたい場合は濾過すればよいのですが、いろいろ入ったままでもおいしく楽しめます。
まずは、そのまま舐めてみましょう。明らかに市販のものより香りが深いことがわかります。
料理をする前にこのラー油を楽しむための注意事項です。
- まず、空気に触れた油は、品質の劣化が激しいので早めに使いきりましょう。油が酸化しやすい状態になってるので、おいしい内に食べてしまいましょう。これまでの経験では、室温で 2 週間くらいは問題ありません。
- 真っ赤にはなりませんが辛いです。市販のモノは着色しているようです。数種類の鷹の爪を試しましたが、オレンジ色にしかなりません。でも、市販のモノよりかなり辛くなるので注意して下さい。
- 香りが濃厚なので、あわせる料理によってはバランスが悪くなるかも知れません。
- 電子レンジは使えません。実験してみたところ、香り材料があっと言う間に焦げてしまいました。他の加熱方法がない場合や急いで作る場合は、加熱を 10〜20 秒を単位に、様子を見ながら徐々に加熱して下さい。
- 調理中よりは、仕上げとして使う方が良いでしょう。盛り付けてからお好みで使うと無茶な状態には陥らないと思います。
さぁ、おいしい料理でラー油を楽しみましょう。