デジタル容量計を作ろう

〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜

First Relese: 2nd, May, 2000
Last Update: 25th, Jul, 2000
-----------------------------------------------------------------

概要

 2000 年 1 月 29 日と 30 日の両日、新潟県下田村の越後長野温泉嵐渓荘で開催された「NISOC インターネット合宿」の余暇として、ゲルマニウムラヂヲを製作しました。その際、行う予定だったバリコンを自作する実験は時間の関係で割愛されました。
 結局、ひとりで楽しむことにしたのですが、アルミホイルで作ったバリコンの容量が計算値とかけ離れているせいかうまく行きません。そこで、2000 年 3 月頃、容量の測定を行うために容量計を製作しました。これは、その時のメモです。


キットについて

 「デジタル容量計キット」は、3 桁の 7 セグメント LED で、1pF 〜 9990 μF までの容量を測定できるものです。電子工作ではお馴染みの秋月電子通商から発売されています。

 このキットの特徴は、次の通りです。
基本的な性能
 測定範囲: 1pF 〜 9990 μF
 測定確度: ± 1% 以内
 電源電圧: 8V 〜 15V
 電源電流: 100mA (標準)
プリント基板
 任意のケースに入れやすいよう、測定部と表示部を切り放せるようになっています。切り放した場合には、9 回路分を配線する必要があります。
基板の形
説明書
 キットに付属の説明書には、測定誤差の補正方法や動作原理などおもしろい説明が記載されています。
 パーツリストに記載漏れがあります。4 本の 1S1588 というダイオードが抜けています。
部品等
 また、スイッチ類 (3 種類) がありません。部品のチェックを行った際、回路図上の SW3 が入っていなかったのと、本来 1 回路 5 接点のロータリースイッチが 2 回路 6 接点であったため、電話で確認しました。どうやら、同梱のスイッチはオマケで、本来はキットに含まれていないそうです。ケースやスイッチ等、外見を左右するものは好きなモノを自分で用意して下さいとのことでした。
キットの中身
オマケ
 前述のスイッチのようなオマケが同梱されている場合があるようです。秋月のおじさんによると「在庫のパーツに余裕があると同梱する場合がありますが、本来はキットに含まれません」とのことで、パーツリストにも記述されていないそうです。私の場合は、次のモノが入っていました。これでオマケ???
タクトスイッチ
 SW1 用の押している間だけ回路が入るタイプの小さなスイッチです。
ロータリースイッチ
 SW2 用の測定レンジを切り替えるスイッチです。2 回路 6 接点のものが 1 回路 5 接点の代わりとして使えるように入っていました。2 回路あるので、電源の OFF ポジションにも使えそうです。
校正用基準コンデンサ
 元々、秋月で選別された誤差± 1% のコンデンサがキットに含まれていますが、もう一つ入っていました。こちらは、メーカで誤差± 1% として出荷されているものだそうです。写真上の少し大きいオレンジ色のものがメーカ保証もの、下が秋月で検査したフツーのコンデンサ。
校正用基準コンデンサ
電源アダプタ
 12V 200mA のアダプタがありました。次に述べる電源問題への配慮だと思われます。
電源
 説明書には「絶対に 006P (9V) 電池は使用しないで下さい。」と大書きされています。消費電流が大きいので電流容量が足りなくなってしまうそうです。
その他
 「見た目はおまかせ」ってのはいいのですが、作る人間の趣味が問われるところです。
 前に作ったデータロガーでは、悲しい部品チェックの結果でしたが、今回はチョー充実のオマケ満載でした。


組み立ての方針と追加の部品

 いろいろオマケがついてても、揃えないといけないモノがあります。予め、全体の方針を決めることにしました。
  1. ケースを選び、基板を切断するかどうかを決める。
    ダイエー新潟店 6F のパーツショップでケースを探したところ、切断した基板のサイズに見事ピッタリのものが見つかり即決しました。タカチ電機工業の YM-100 (100W 30H 70D) という製品で、550 円でした。ところが、これが後の苦労の元になりました。
  2. 部品の配置を決める。
    切断した基板をスペーサで 2 階建てにして、余白にスイッチ類と電極等を並べることにしました。電池を内蔵するスペースは全くないのでオマケの電源を利用することにしました。
  3. 適当なサイズの部品を購入する。
    小さめの部品が必要だったことから、オマケのロータリースイッチは使いませんでした。また、計測を開始するためのリセットスイッチですが、タクトスイッチでは小さすぎて使いにくそうだったので別のものを探しました。結局、次の部品を用意しました。末尾の数字は、ダイエー新潟店 6F パーツコーナーでの購入単価です。


組み立て

 部品点数はそれほど多くないのですが、測定レンジごとに部品があるので、ハンダ付けの必要な箇所は、180 弱です。内、約 50 が IC 関係、約 50 が抵抗のものです。今回は基板を切り離したので、基板間を接続するためにもう 18 回のハンダ付けとなりました。

 まず、基板の切り離しをします。小さめのノコギリがあると簡単に切り離せます。カッターで繰り返し切れ目を入れても問題無く作業できると思います。
 切り離した基板にそれぞれ部品を取り付けて行きます。三端子レギュレータやトランジスタ、LED が若干熱に弱いのですが、問題なく作業できました。併せて、スイッチ類や基板間を接続するためのリード線 (10〜15cm 程度) を付けておきました。
 少々やっかいなのは、 2 階建ての基板間を接続するリード線が交差することです。このため、配線を間違えやすいだけでなく、交差したリード線がテンコ盛りになってしまいます。ピッタリだった小さめのケースは、バッテラのような状態になってしまいました。
バッテラ状態 の図
 続いて、各スイッチ類と電極を取り付けます。テキトーに配置して取り付け位置を決めたら、穴開けを行います。久しぶりのアルミ加工でドリルが快感です。ヤスリで穴の大きさを調整してからスイッチ類を取り付けます。LED 用の窓も作ってしまいます。窓の位置をマジックで書いてから、線の内側をドリルで小さな穴を空けて行きます。穴同士をヤスリで削って窓を開けます。デコボコもヤスリで削ってケースの加工が完了します。
スイッチ類の取付 の図
 スイッチ類や測定用電極、電源用のソケットと基板を接続すれば完成です。
完成!! の図


調整

 説明書に記載されている方法で調整を行います。校正用のコンデンサを使って 2 箇所の半固定抵抗をそれぞれ調整します。調整の手順を 5〜6 回も繰り返すと安定します。
 校正用コンデンサの容量が正しく表示されるように調整するわけですが、時々、変な値が表示されることがあります。電気電子工作の部屋にある通り、測定開始スイッチを押す際にチャタリングが発生すると正しい測定値になりません。測定は、2〜3 回繰り返し、表示された値が安定していることを確認してください。
 ここでも、小さいケースの弊害というか 2 階建て基板の弊害が出ました。半固定抵抗を回すのに異様に苦労しました。


浮遊容量

 説明書に記述がありますが、この容量計を使用するには、浮遊容量 (別名、ストレ容量) と呼ばれる、回路自体が持つ固有の容量についての配慮が必要です。この容量計の最小測定レンジは、0pF 〜 999pF です。この測定レンジで測定端子に何もつながない状態で測定を行えば、回路が持つ容量がわかります。実際の測定においては、この浮遊容量分を差し引けば正しい値が測定できることになります。
浮遊容量を測って見よう の図
 今回の製作例では、40pF 前後の浮遊容量がありました。「前後」というのは、毎回必ず同じ値ではないのです。1〜2pF 程度の変化があります。この程度の微小容量では、この容量計はアテにならないってことですね。もちろん、1000pF (0.001μF) 以上の測定レンジではほとんど問題にならないと考えて良いと思います。
 また、実際に測定する場合には、みのむしクリップを使用してコンデンサをつなぐようにしたので、リード線間にも浮遊容量が発生します。僅か 30cm 程のリード線をくっつけたり離したりするだけで、激しく容量が変化しました。実際に正しく測定したい場合は、リード線を固定し、まさしく測定する状態で浮遊容量を確認する必要があります。


反省と今後の予定

 やはり、ケースは十分余裕のあるサイズを選ぼう! です。何かにつけ苦労してしまいました。
 表示用の LED は非常に明るくまぶしいくらいです。窓の裏側から黒い下敷を貼り付けると見やすくていいんじゃないかと思います。また、ケースと LED の隙間から中が覗けてしまうのも防止できます。また、電気電子工作の部屋に紹介されている改造にも挑戦したいもんです。


参考

 次の各サイトは、購入前から大変参考にさせていただきました。感謝。手軽で便利そうなキットだと思うのですが情報源が少ないです。


リンク


-----------------------------------------------------------------

ひとりでできるもん! トップページ
NISOC トップページ

Copyright(C) NISOC
Copyright(C) NISOC-DIY (Project HITORIdeDEKIRUmon)