陳皮を作ろう
〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜
First Relese: 29th, Aug, 2000
Last Update: 5th, Sep, 2000
概要
ラー油を作るときに紹介した陳皮 (ちんぴ) の作り方ですが、書くだけではあんまりにもショボイので、実際に作り方を紹介します。
陳皮について
陳皮は、一般に乾燥させたミカンの皮で、中国語では Chen2-Pi2 と発音します。中華料理の素材としてだけでなく、七味唐辛子やカレー粉等にも含まれています。漢方薬としても有名で、健胃や咳止めの効果があるそうです。ミカン以外の柑橘類の皮を使ったものもあります。
一般に香辛料を多く扱っているお店や漢方薬店で入手可能で、300 円〜程度で購入できます。ところが、量が多めで頻繁に使わないとなかなか消費できません。放置すると徐々に香りが飛ぶのが難点です。そして、何より「干からびたミカンの皮」に金かけんのってもったいない。
というわけで、部屋に柑橘類の転がってるあなた! さぁ製作にかかりましょう!!
調理器具
用意する調理器具は僅かです。一人暮らしの方でも挑戦できる範囲だと思います。
- 洗濯バサミ
要は皮を吊しておく道具です。
- その他
箸、包丁、まな板など。
- ビニール袋
完成品を保存するための袋です。乾燥剤などがあれば、一緒に使いましょう。
材料
原料を乾燥させるだけなので、極めてシンプルです。分量もへったくれもありません。
- 柑橘類の皮
みかん、きんかん、夏みかん。レモン、オレンジ、グレープフルーツ。基本的に柑橘類であれば何でも構いません。
- 日光
たっぷりのお日様があるとうれしいですね。
加工
手順は簡単です。
- ワックスを落す。
ほとんどの柑橘類は、ワックスがついています。洗剤で軽く洗った後、スポンジの硬いヤツでしっかり洗い直しました。ただ、あまり強くしすぎると、皮の細胞膜が破れて香りが飛んでしまうので注意します。
- 実を食べる。
中身をおいしくいただきます。
- 皮を剥く。
皮の裏の白い部分にも薬効があるそうですが、グレープフルーツでは、包丁でそぎ落しました。料理用には苦みが強すぎる気がしたためです。
- 干す。
乾燥させます。我が家の場合、絶望的に陽あたりが悪いので、室内の物干し竿に洗濯バサミで吊しました。そして、除湿機の風があたるようにしました。
その後、1 週間もして乾いたら一応の完成です。
- もっと干す。
引続き乾燥させるため、未だ洗濯物と並んで、除湿機の風に揺られています。ドライフラワー用の目的で市販されている乾燥剤なんかを使うと早く乾燥するでしょう。本当の陳皮は、天日で数ヵ月以上乾燥させるそうです。
- 保存する。
ビニール袋か何かに入れておけばいいと思いますが、保存できる状態になるまでは当分かかりそうです。
食べる
陳皮と言えば牛肉という印象が強いのですが、スーパーで豚ハツが安かったのでこれを使うことにしました。
- 陳皮を細かく刻みます。思ったほど香りが出ないのでたっぷり用意します。
- ハツを軽く水洗いして、陳皮、ネギ、生姜、花椒 (山椒) 、酒、塩、醤油につけて置きます。
- 夏にお安い胡瓜を太い千切りか短冊に切ります。種がニュルニュルしてたら取り除いて下さい。
- ハツを調味料ごと鍋に入れ一気に炒めます。肉におおよそ火が通ったら胡瓜を加え、すぐに軽くアンを付けてできあがり。
同じ料理を、グレープフルーツと夏みかんそれぞれで試しました。
夏みかんは、それらしい香りでとても楽しめました。ところが、グレープフルーツは、特有の苦みがあり、使い方に工夫が必要だと感じました。
豆知識
- 七味唐辛子の中身
- 唐辛子、胡麻、山椒、芥子、麻の実、(菜種 | 青海苔)、陳皮
OSI 参照モデルの 7 層と一緒に憶えよう!!
- お屠蘇
- 正月に飲むお屠蘇ですが、本来、「年始に一年の邪気を払い、延命を願うために日本酒に薬草を入れて飲む」ことなんだそうです。年賀に訪れたお客様にも、最初はお屠蘇 (薬草入り) を出して、その後、日本酒 (薬草抜き) にするのが正式なんだとか。
使用される薬草には附子、桂皮、山椒、大黄、桔梗、浜防風、陳皮などがあり、それらを入れてお屠蘇をいただくことになります。
参考文献
インターネット上では、調味料としての陳皮については情報がほとんど見つけられませんでした。次の各書籍を参考にしました。
- 別冊家庭画報 一流シェフが手ほどきする「人気のチャイニーズ」
世界文化社刊、ISBN4-418-98122-5 C9477 \3200E
きれいなカラー写真が満載で眺めているだけでも楽しい一冊です。調理そのものだけでなく、食材や調理器具についてもわかりやすく書かれています。これから中華にハマってみようという方には特におすすめです。
- 中国料理用語辞典
井上敬勝著、日本経済新聞社刊、ISBN4-532-16085-5 C0076 P1200E
著者は医師をされていた方という変わり種です。元々、中国語のメニューを読むための書かれた本で絵や写真はほとんどありません。中華料理全般の基礎知識からメニューの読み方、材料名まで網羅されています。興味のある方や現地に行けるリッチな方にはご一読をおすすめします。
2000 年 9 月 5 日現在、各サイトにリンクの許可を頂いておりません。従って、紹介だけです。
- 北海道大学医学部東洋医学研究会
http://www.med.hokudai.ac.jp/~toiken/index.htm
「生薬解説」というコンテンツに陳皮の詳しい説明があります。
- Bio Balance Harmony
http://www.ne.jp/asahi/bbh/ogawa/
小川針灸治療院の院長さんが進めておられる治療システムを紹介するサイトです。「漢方生薬」というコンテンツに陳皮の詳しい説明があります。
- アポプラスステーション株式会社
http://www.so-net.ne.jp/medipro/apoplus/
医療関係の会社のサイトです。「うさぎ薬局」というコンテンツの「日常生活に役立つ豆知識」に秋の果物として紹介されています。
- 月桂冠株式会社
http://www.gekkeikan.co.jp/
「お酒の博物誌」というデータベースサイトがあり、前述のお屠蘇の話のネタ元です。
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