飲酒チェッカー を作ろう

〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜
Relese: 28th, Jan, 2004
Last Update: 28th, Jan, 2004

概要

 2004年1月24日と25日の両日、福島県麻耶郡熱塩加納村の熱塩温泉山形屋で開催された「第 6 回 NISOC インターネット合宿」のイベントとして、飲酒チェッカーを製作しました。これは、その時のメモです。

キットについて

 「飲酒チェッカーキット」は、日本セラミック株式会社製の NGSX-03 というアルコールセンサを利用した飲酒チェッカーです。電子工作ではお馴染みの秋月電子通商から発売されています。

 このキットの特徴は、次の通りです。
センサ
 次のような特徴があります。 また、ニコチンの付着に弱いので、煙草には要注意です。喫煙後 5 分程度は、肺に残ったニコチンの影響があるので十分な配慮が必要です。
表示部
 表示用 LED の駆動に使われている IR2E02 は、オーディオの VU メータ用の LED ドライバのようで対数表示です。しかし、センサの出力が指数スケールになっているので、打ち消しあってリニアな表示が行なわれます。
基板
 一般的な両面基板で、47 x 72 mm ぐらいの大きさです。
説明書
 キットには、キット自体の説明書とアルコールセンサ (NGSX-03) の説明書が附属しています。
 キットの説明書には、センサ・回路・組み立てについて大雑把な説明があります。また、センサの説明書には、特徴・定格・構造及び基本回路・諸特性について説明されています。
電源
 消費電力は、およそ 6V 200 mA 程度で、この手のものとしては大飯食らいです。
 説明書にもありますが、センサには、触媒に付着したアルコールを蒸発させるためのヒータが入っており、このためだけに 160〜180 mA を消費します。そのため、電池駆動させるには配慮が必要で、積層乾電池の利用は難しいと思われます。
ケース
 このキットにケースは附属しません。ケースを探す楽しみがあります。
 基盤自体の厚さは、1.5 mm 程度で、部品を実装した高さは 10 mm 程度です。この他、直径 16.5 mm 高さ16.5 mm (ピンを含む) のセンサと電源の大きさに配慮が必要です。
その他
 当然のことながら、この飲酒チェッカーでの測定結果は、飲酒をしていないことを示す法的根拠になりません。測定するまでもなく「飲んだら乗るな! 乗るなら飲むな!!」

追加の部品等

 このキットに含まれないのですが、用意すべきものを列挙します。
電源
 6 V 200mA〜 の DC 電源が必要です。
 消費電力が大きいので、数時間は安心して遊べるように DC アダプタを使用しました。秋月電子通商丁度良いのが売ってたので DC ジャックと一緒に購入しました。

 飲み屋のおねぃちゃんに見せびらかして喜びたいような場合には、電池駆動が便利です。電池ボックスがあれば上等ですが、説明書にもありますが、単三乾電池だと 2 時間程度しか持たないようです。電源スイッチがある方がいいと思われます。
ケース
 組み立てて試すだけなら不要ですが、剥き出しはかっこ悪いので何かに入れたいところです。うまくがんばって煙草ケースに入るかどうかギリギリです。また、センサをどのように取り付けるかも悩ましいところです。
 この辺りの問題は後回しにしても遊べます。じっくり作戦を立てましょう。

組み立て

 部品点数はそれほど多くないので、直付けする半導体部品を加熱し過ぎないことくらいが注意点です。ハンダ付け前に、慎重に部品の種類と方向を確認してください。基板裏のパターンはすっきりとしていて、ブリッジの心配も少ないと感じました。

  1.  部品の確認をします。

    LED
     3 種類の LED が入っていますが、その並べ方が説明書に見当たりません。また、赤色 LED の外見が無色です。外見と発光色、配置は、次のようにしました。
    並び順
    右→左
    発光色外見色意味
    (説明書より)
    1大丈夫
    2まだまだ
    3これから
    4よいのくち
    5無色よっぱらい
    6無色大よっぱらい
    7無色でぃすぃ
    半固定抵抗
     説明書にはありませんが、102 と書かれた部品が 1 KΩ、103 と書かれてるのが 10 KΩです。
    こいつが 1 KΩ
    こいつが 10 KΩ
    アルコールセンサ
     このキットで最もハマリやすいと思われるのが、センサの結線です。センサの説明書にある寸法図の下面と構造図をよく読みます。すると、まず、極性が無いことがわかります。
     構造図によると内部には、ヒータと 2 つの電極とそれぞれに 2 本づつ計 6 本のピンがあることがわかります。ここで重要なのは、このセンサが 2 つの電極間に電気を流すという点です。従って、それぞれの電極にあるピンのいずれかに回路を接続してあげることになります。
     寸法図の下面図にある電極の番号に照らすと、2 と 5 をヒータに接続すれば良いことがわかります。
     センサについては、3 本組の両端をそれぞれの組から 1 本づつ接続します。例えば、片方を 1 に接続するなら、もう片方は 4 または 6 に接続することになります。もちろん、3 に対して 4 または 6 でも構いません。
    ジャンパ
     一箇所ですが、ジャンパが必要です。ジャンパ用の線材は附属していないので、抵抗の足を 2 cm 程切って使います。
    IC
     ソケットが付いてるので、IC を直接ハンダ付けしたりしないようにしましょう。やらかした人がいたので念のため。
  2.  部品を取り付けます
     セオリー通り、半導体モノ以外の背の低い部品から取り付けます。最初は一箇所あるジャンパです。続いて、固定抵抗、積層セラミックコンデンサ (青くて小さいヤツ)、IC ソケット、電解コンデンサ、半固定抵抗の順に取り付けていきます。電解コンデンサには極性があるので注意して取り付けます。足の長い方が +、白地に数字の 0 と書かれた方が - 側です。
     LED は、見た目の良し悪しを決めるので、高さを揃えられるよう慎重に取り付けます。ヒートクリップを使うことで足の高さを安全に揃えることができます。後で、高さを調整できるよう、余分なリード線の切断は、全ての LED を取り付けてから行なった方がいいと思います。
     レギュレータ IC (トランジスタみたいなヤツ) を取り付けます。これも半導体なので、熱しすぎないようにチャッチャと取り付けます。
     電源用のリード線を取り付けます。今回は DC ジャックを接続しました。
     キットの説明書によるとアルコールセンサは、基盤に直接取り付けるようになっていますが、どうやって固定するのかよくわかりませんでした。そこで、後で適当なケースにいれることを考慮して 20 cm 程のリード線の先に取り付けました。アルコールセンサのピンとリード線は、そのままではうまくハンダ付けできません。結局、リード線の皮を 2 cm 程剥いて、グリングリンと巻きつけてハンダで固めました。
  3.  検査
     IC をはめる前に、ルーペなどで正しくハンダ付けができているか確認してください。特にハンダがはみ出してブリッジになっていないか、ハンダが少なすぎて部品がグラグラしていないかを調べます。
     次に電源を接続し、テスターで回路上に電源電圧の 6 V とオペアンプ用の 5 V が出ているか確認します。
  4.  その他の部品を取り付けます。
     一旦電源をはずしてから、集積回路をソケットにはめ込みます。きちんと奥まで入れてあげましょう。

調整

 説明書に簡単にできる調整方法が記載されているので、この手順に添って調整します。なお、咥え煙草でお酒を飲みながら製作してしまっている場合、できるだけ翌日になって落ち着いてから調整しましょう。
 また、調整に当たって、ラガービールを用意します。なぜかラガーが指定されていて、スタウトやピルスナーではイケないようです。
  1.  二つある半固定抵抗を GND 側 (反時計方向) いっぱいに回します。この状態で電源を接続すると、数秒後に全ての LED が点灯します。ハズですが、点灯しませんでした。各半固定抵抗を電源側 (時計方向) に 20 度程戻してあげると全部点灯したので、そこから説明書の手順を行ないました。両方の反固定抵抗を真中より電源側 (時計方向) にしても LED が点灯しない場合は、何か問題があると思われます。直ちに電源をはずして、全ての配線を再確認してください。
  2.  オフセット側 (センサから遠い方) 半固定抵抗を GND 側 (反時計方向) いっぱいに回したところに戻してから電源側 (時計方向) に戻します。全ての LED が点灯したところを過ぎると、ひとつづつ消灯していきます。全ての LED が消灯するギリギリのところに設定してください。
  3.  スケール側 (センサに近い方) 半固定抵抗を回す準備をして、ラガービールを口に入れ軽くゆすぎます。センサに息を吹きかけながら、電源側 (時計方向) に少しずつ回して、全ての LED が点灯するギリギリのところに調整します。
     常識的に、口をゆすいだビールは飲み込むわけですが、息を吹きかけ続けてるとそれなりにます。ご注意ください。
  4.  4〜5 分放置して、飲酒チェッカーが平常時に戻るのを待ちます。その後の状態で、オフセット側 (センサから遠い方) 半固定抵抗を調整して、全ての LED が消灯するギリギリに調整します。
  5.  行程 3〜4 を 4〜5 回繰り返して調整が完了します。

今後の予定

参考

 なんとも悲しいことですが、電子工作をする人が少ないのか、このキットの人気がないのか、ほとんど情報がありませんでした。関連情報のサイトをご存知の方がおられればご連絡下さい。

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