NMW2000におけるIAAデモのアンケートの考察(案)
〜実行委員ちょの私見に満ちた考察〜
Last Update: 2th, Aug, 2000
はじめに
新潟マルチメディアワールド2000において、新潟インターネット研究会(NISOC)は、主催者行事「IAA生存者情報データベース」の協力を行い、150点のアンケートを得た。この集計結果は既にまとめられている通りである。ここでは、この集計結果について、若干の考察を加えてみることにする。
若干の考察
お答えいただいた方々
- 性別
- 2/3以上がが男性である。これは、用意した端末がWindowsクライアントのみであったため、パソコンを操作できることとの関わりが大きいように思われる。アンケートに答えていただいた方の多くは、実際に登録・検索を行った方である。来場者の半数は女性と見込まれるので、女性にもなじめるデモの仕方、ブースの運営など、考えていく必要がある。
- 年齢別
- 10代が少なかった。20代以上は、おおむねバランスがとれている。10代は、このようなデモに感心が薄いこともあるが、前述の女性同様、何らかの工夫が必要であろう。
- 職業別
IAAシステムの操作性について
- 試用していただいた登録方法
- パソコン(WWW)が圧倒的に多く、携帯電話(iモード)からの登録は1点にすぎない。準備の関係でやむをえなかったのだが、携帯電話(iモード)が準備できなかったことが悔やまれる。
- 登録項目について
- 「ちょうどよい」が8割を超えているが、「多い」「少ない」の1.5割を見逃すことはできない。しかし、自由記述の中に、具体的な改善策が見当たらず、感覚的なもののようである。
- 自由記述の中で、"「通称」と「キーワード」の違いが今一つわからない
"は注目すべきである。運営に携わったスタッフの中で、この違いを明確に説明できる者は多くない。スタッフの勉強が必要である。
- 登録・検索方法について
- 無記入と「わかりづらい」を合わせても、1割に満たない。おおむねよいと判断してよいと思われる。なぜなら、実際の災害に遭遇した場合は、登録にあたってはボランティアの人がアシストするであろうし、検索を自宅で一人で行う場合も必死に努力すると思われるからである。
- 詳細については割愛するが、自由記述の中には、システムの改善につながるヒントとなるものも見うけられるので、謙虚に受けとめるべきである。
IAAシステム全般について
- あなた、もしくは、あなたの関係するどなたかが被災者となった場合に、やりとりが必要と思う情報にはどんなものがありますか?(複数回答可)
- 「自分や家族の周辺の被害状況」が圧倒的に多かったことはいうまでもない。「交通機関・道路の状況」をはじめとする生存や生活にかかわるものが1/3以上をしめている
- 「行政機関からの案内」が1/3以下であることは、過去における行政機関の悪しき実績を雄弁に物語っていると見るべきであろうか。それとも、"やりとりが必要な情報"として具体的なイメージがわきにくいと見るべきであろうか。他の解釈も含めて、論議の分かれるところである。
- このようなシステムは自宅以外のどのような場所で使える事が望ましいと思いますか?(複数回答可)
- 圧倒的に多い「避難所」が多い。公的施設が数多く選択されている中で、「コンビニエンス・ストア」が過半数を超えている。「コンビニエンス・ストア」の現在社会における存在の大きさが如実に現れている結果といえよう。
- 自由記述の中の「自治体がもっと積極的に係わる必要があると思う」は、この問いに対しての適切な回答とはいえないが、注目にあたいする。IAAシステムには、行政から積極的に取り組んでほしいことは、スタッフの総意といっても過言ではないと思われる。
- このようなシステムを利用する場合、問題だと思うところはどこですか?(複数回答可)
- 「電源が確保できないのではないか」をはじめとする、災害時に稼動できないかもしれないことを憂慮する声が多い。災害の規模にもよるが、最低の稼動はできるので、今後の普及・啓発活動の中で、憂慮をなくするように努めていく必要がある。
- 詳細については割愛するが、自由記述多くは、今後の普及・啓発活動の中で解決できそうなものが多いといえる。
- このような個人データを安否情報として公開することについて、どう思われますか?
- 約9割の方が「この程度の情報は公開されてもかまわない」か「災害時の間だけ公開されるならばかまわない」のいずれかを選択している。しかし、残りの1割を見逃すわけにはいかない。自由記述に見られた「今後制定される法律(個人情報保護)との関係で検討の余地あり」は尊重されるべきであると思われる。
- 改善すべき点や追加すべき機能についてご意見をお願いします。
- 詳細については割愛するが、検索した情報の確かさや精度を問う記述が多い。これらについては、実際に本稼動した事例やこれまでの訓練をもとに、明らかにしていく必要があると思われる。
- この問いに対する適切な回答の中では、システムの改善につながるヒントとなるものあるが、さしあたり早急に対応すべき点は見出せない。それ以上に、このシステムについての普及・啓発活動が肝要と思われる。
おわりに
アンケート集計結果やこの考察を、今後の新潟インターネット研究会におけるIAAのデモに生かしていくとともに、WIDEプロジェクトにかえして、IAAシステムのさらなる改善に役立つ資料としていただければありがたい。
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