エゴ草を採って「えごねり」を作ろう

〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜
Last Update: 24th, Jul, 2001
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概要

 夏といえば海。海の楽しさは海水浴だけではありません。海の幸を採る楽しさもあります。海の幸のといっても、数限りなくあります。これは、新潟県中越地方の海岸でエゴ草という海藻を採って、夏ならではの食べ物、「えごねり」を作ってみたときのメモです。

エゴ草とその採り方

 海の幸を採るには、その海域の漁業権が必要のようです。ですから、採るといっても、浜辺で拾うという表現が適切でしょう。漁業権についてはよく知らないのですが、一般の外来者がエゴ草を採ることについて、地元の漁師さんの話では、海に入って採取するのはダメで、浜に打ち上がったものはよいとのことです。事実、私自身、過去において、海に潜ってエゴ草を採っていて、地元の方にひどく叱られたことがあります。一方、浜辺で拾っていて、注意されたり叱られたりしたことは一度もありません。

エゴ草について

 エゴ草の和名は「エゴノリ」です。紅藻類で、他の海藻に絡み着いて水深数メートルのところに生えています。紅藻類といっても、海の中に生えているものや打ち上げられた新鮮なものは黒褐色で、1ミリメートル前後の太さの枝分かれで絡み合った糸状です。決め手となる特徴は、他の海藻に絡むための触手ともいうべき先端の形態です。その形は、くるっと丸まっていたり、鎌の形に似た形をしています。また、全体に丈夫で、少しくらい引っ張っても切れることがないのも特徴の一つといえるでしょう。浜に打ち上げられて何度か乾燥と水(海水)浸しが繰り返されたものは、赤紫からオレンジ系の色、ピンク系の色、やがて白色へと脱色していきます。

[新鮮で特徴をよく表しているエゴ草の図] [エゴ草の特徴である先端の形態に印をつけた図] [打ち上げられてかなり時間がたっているエゴ草の図] [エゴ草を拾い出している図]

採り方について

 海が荒れた翌朝、または荒れているときに海岸で拾います。エゴ草の形の特徴や、新鮮なものから色あせたものの色などがわかり、採りなれてくると、運がよければ買い物袋一つくらいは拾うことができます。
 海が荒れた翌朝は、大量の海藻が打ち上げられていますので、その中から丹念に見つけ出します。海が荒れているときは、大波にのって打ち上げられてきた黒っぽい海藻の塊に目をつけて採ります。あっ、エゴ草だと思っても違うこともありますし、採りにきている他の人に先に採られてしまうことも度々です。
 ですから、必ずたくさん採ってくるぞという気持ちをもたず、採れたらもうけもの、健康づくりの一つとして海岸に行ったときのおまけぐらいのつもりで出かけるのがよいと思われます。

エゴ草の処理

 採ったエゴ草は、すぐに「えごねり」にすることはできません。エゴ草には様々なゴミや砂が付着しています。まず、ゴミを丹念に取り、水でよく洗います。バケツの中で洗うと、いかにエゴ草によごれや砂がついていたかがわかります。この作業が、採集から食べるまでの中で面倒な作業です。
 きれいにしたエゴ草は天日で乾燥させます。この乾燥までの処理を行ったものが、50グラムあたり1000円前後でスーパーなどで販売されています。漁師(海女)さんたちの作業を見たがぎりでは、素もぐりで新鮮なものを採っきて、そのまま乾燥しています。しかし、スーパーなどで販売されている現物を見ると、すぐに乾燥させたものを少なくとも1回は水洗いをして再び乾燥させたもののように思われます。

[色あせたエゴ草を乾燥している図] [色あせたエゴ草と新鮮なエゴ草を乾燥している図] [乾燥させ処理が終わったエゴ草の図] [これで50グラムの図]

「えごねり」を作ろう

 「えごねり」は、魚沼地方(特に南魚沼)のお盆のご馳走に欠かせない一品で、通常は「えご」、それがなまって「いご」と呼ばれています。ここでは原料となるエゴ草と区別するために、食べるために料理されたものを「えごねり」としました。
 「えごねり」の作り方は、後述する単純なものですが、魚沼地方の期間限定の家庭料理のようなものですから、ここでは我が家の作り方を説明することにします。なお、一般的な作り方は、販売されている袋に書いてある場合が多いようです。また、家庭によっては、購入してきたもの(手に入れたもの)を、水洗いと乾燥を繰り返して、すっかり脱色してから作り始めるとのことです。

  1. 鍋に処理済みのエゴ草を入れエゴ草がかぶるくらいの水を入れて煮ます。水の量によって硬さが決まります。
    [エゴ草がかぶるくらいの水を入れた図] [煮立てている図]
  2. 沸騰してきたら、菜ばしや泡だて器でかき回します。このときの煮ながらかき回す作業の時間によってきめの細かさが決まります。それにしても、最低10分はかき回す必要があります。
    [菜ばしでかき回している図] [泡だて器でかき回している図]
  3. 煮ながらかき回しているときに、ゴミや他の海藻(溶けないもの)を取り除きます。
    [溶けないものを取り除いている図]
  4. お菓子などの空き缶に流し込み、冷めたら冷蔵庫で冷やします。冷蔵庫で半日くらい冷やすと完全にかたまります。
    [お菓子の缶に流し込んでいる図] [冷ましている図]

「えごねり」を食べよう

 冷蔵庫で冷やしておいた「えごねり」を取り出し、缶の中で包丁などで使い羊羹のように切って取り出します。取り出すときはフライ返しが便利です。あとは、皿に盛り付けて、醤油や酢味噌をつけて食べます。醤油の場合、好みに応じて、生姜、わさび、からしなどを使います。今回は生姜醤油で食べてみました
 うーん、美味い。「えごねり」ならではの旨味と磯の香が口の中いっぱいに広がりました。
[缶から「えごねり」を切り出した図] [盛り付けの図] [「えごねり」に接近!の図] [「えごねり」に大接近!!の図]

付記

 「えごねり」として製品となって販売されているものの中には、エゴ草100パーセントでないものがあります。しばしば緑がかった色の製品や変に黒っぽい色の製品を見かけますが、エゴ草だけで作った場合、色がつくとすれば、紫がかった褐色です。色の強さは処理された段階でのエゴ草の色で決まります。完全に脱色した状態でつくれば、ベージュ系の色になります。
 さて、なかなかエゴ草を採りにいけない方、とても採りに行く気になれない方、ぜひ、スーパーなどでエゴ草を購入して試してみてください。本当に美味しい「えごねり」が食べられますよ。

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