デジタル温度計を作ろう

〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜  
Last Update: 11th, May, 2000
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概要

 キットの製作は、キットそのものを作る楽しさもさることながら、コンパクトで使い勝手のよいものに工夫していく楽しさも大きいようにも思います。「ひとりでできるもん!」でおなじみの(有)秋月電子通商から発売されている「デジタル温度計」を工夫して作ってみました。これは、その製作メモです。

工夫した点

 この作品で工夫した点は次の4点です。 [温度線センサーが本体と切り離せる図] [温度センサー部を取り外して格納している図] [温度センサー取り付け部側から見た図] [電源スイッチ側から見た図]
 この工夫をしたきっかけは、センサ部を作るにあたって、手ごろな2芯シールド線がほしいことにありました。はじめは、手元にあったシールド線で試作したのですが、やや太かったために、本体とのアンバランスを感じました。ちょうど、ウォークマンの壊れたステレオヘッドフォンがあったので、その線を用いるついでに、脱着可能なものにしようと考えたのです。
 ケースについては、キットにも手ごろな大きさのプラスチックケースが含まれているのですが、蓋が完全に外れるものですし、蓋を閉めたときにカチッという感触がなく、心もとない感じです。そこで、手ごろの大きさの開閉式で閉めたときに手応えのあるものを探しました。電源スイッチはあったほうが便利です。ジャックの受け側と電源スイッチが取り付け可能という条件を加え、なるべくコンパクトなものという条件も加えると、身近なものでは、8ミリビデオのカセットケースがありました。
[用いたステレオヘッドフォンのジャックの図] [8ミリビデオのカセットケースの図]

キットについて

 この「デジタル温度計キット」は、同じく(有)秋月電子通商から発売されているICL7136CPLを使用した「デジタル電圧計(DVM)キット」の応用回路で、使用パーツが若干異なりますが、説明書(総合マニュアル)や専用基板は兼用の部分が多いです。
 製作後の調整で、簡易調整をする場合は、1mVが識別できるデジタル電圧計が必要です。また、完全調整をしたり、センサーのひき回し(延長線)を取り付けたり、水温等を計れるようにしたりする場合は、シールド線やエポキシ樹脂を別途用意しなくてはなりません。

この「デジタル温度計キット」の特徴は、次の通りです。

基盤部の組み立てと調整

 キットに添付されている総合マニュアルは、大変わかりやすく、部品の取り付け順序まで丁寧に説明されているので、よく読みながら組み立てていけば難しくはないと思われます。大まかですが、組み立て順序を示しておきます。
  1. あらかじめ、ICソケットを加工しておきます。ICL7136用は、ソケットの内部にコンデンサが納まるよう、内部の桟をカットします。LCD用は、全ての桟をカットして、2個のシングルラインにします。ともにニッパで簡単に切れますし、切り取りきれなかった桟の残りはカッターやヤスリで楽に取れます。
  2. 3本のジャンパー線をハンダ付けします。うち1本は、抵抗等の余りリード1本では長さが足りませんので、錫メッキ線がない場合は、余りリードを2本ハンダ付けして1本にするとよいでしょう。余りリードを得るために、先に取り付けてもかまわない抵抗やコンデンサをハンダ付するというのもよいでしょう。
  3. ICL7136の下になるコンデンサ(1ヶ)を取りつけます。
  4. 先に加工しておいたソケットを取りつけます。このとき、ICL7136用のソケットの枠がジャンパー線と交差しますので、当たって浮き上がるようでしたら、当たっている部分をカッター等で削り、基板に密着するように取りつけるようにします。
  5. コンデンサ、抵抗、ポテンションメータを間違えないように取りつけます。
  6. バッテリースナップ、温度センサを取りつけた後、ICL7136、LCDの順にソケットにはめ込みます。今回の製作では、この段階では温度センサを取りつけず、仮付けできるようにリードを出しておきました。
[出来あがった基盤部の図] [調整の時プローブを当てる位置の図]
 基板部が出来た後、出しておいたリードに温度センサを仮付けして調整をしまました。センサのVoutは基板のINに、VssはCOMに、VddはV+につなぎます。総合マニュアルには調整の方法として次の2つが示されています。  いずれもポテンションメータで調整するのですが、完全調整法は、センサにひき回しをつけて防水加工をした上で、氷水を用意したり水を沸騰させたりするだけでなく、時間も多くかかります。、一番良いのは簡易的調整を行った後に完全調整を行うことだと思われますが、今回は、簡易的方法のみ行いました。
 ICL7136はLCDの下に隠れているので、基板のハンダ面からプローブを当てることになりますが、基板パターンを良く見て、当て易い場所を選びました。2つのポテンションメータとも、こわれるのではないかと心配になるくらい回転させました。

センサ部の製作と基盤への接続

 これ以前に、ケースに電源スイッチ関係の穴やミニジャック受け側を取りつける穴等を開け、電源スイッチの配線、基板部のケースへの固定をすませておきます。これらの作業は簡単ですので、具体的な内容は割愛させていただきます。
 センサ部を製作するといっても、センサから基盤までの細工です。
  1. シールド線にセンサをハンダ付けします。
  2. センサの防水のためセンサからシールド線の被覆まで、エポキシ樹脂(エポキシ系接着剤)で固めます。
  3. 出来あがったセンサ部のミニジャックの受け側を製作します。標準ジャックの変換アダプタの先端を折り、端子としてハンダを少し盛ります。
  4. ケースの穴に受け側を差し込んで接着剤で固定した後、受け側の端子と基盤から出しておいたリードをハンダで接続します。リードどうしが短絡しないようにCOMからのリードに被覆をかぶせました。
[シールド線にセンサを付けた図] [センサをエポキシ樹脂で防水加工した図] [センサ部の出来あがりの図] [センサ部の受け側を標準ジャック変換アダプタで作った図]
[受け側と基盤との接続の図] [本体(表示部)の配線完了の図]

試してみました

 電池を入れ、センサー部をさしこんでだら、部屋の壁にかけてある温度計とほぼ同じ値が表示されました。試しに氷水を計測してみたら、-0.3℃で安定しました。完全調整しなくても、簡易的調整で十分に使えそうです。
[氷水を計測している図]
 また、総合マニュアルによれば、プラスチックケースの場合は、 ICL7136の動作を安定させるために、シールドの役割をする導電シールを使用することが書かれています。この作品は導電シールを貼っていませんが、問題無く動作しています。

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