山菜採りをして食べよう
〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜
Last Update: 12th, May, 2000
概要
豊かな自然の中で、自然の恵みを手にすることは、とても心地のよいことです。この代表的なものとして、春から初夏にかけての山菜採りがあります。これは、新潟県小千谷市周辺で山菜採りを楽しんだときのメモです。
山菜採りの場所と期日
新潟県長岡市の南端、小千谷市と山古志村の境界に位置する金倉山(標高581m)周辺です。ここは、長岡市・小千谷市周辺の人たちが「山菜の宝庫」と呼んでいる場所です。2000年5月7日(日)、里山では春の山菜採りが終わろうとしているこの時期、金倉山の山頂周辺は、山菜の盛りでした。この辺りの里山の時期にすれば、日当たりの良くない場所には残雪が残り、3月下旬の様相です。かたや日当たりのよい場所では、4月下旬といったところでした。
近年、山菜採りを行楽にする人が増えてきて、山を荒らしています。山菜は地元の人たちにとっては大事な収入源であることを念頭におきましょう。また、山菜を取る場合は、そのマナーを守りましょう(後述)。数年前まで「山のモンはみんなのモンさ。」と寛大だった地元も、とうとう「入山禁止」の看板を立ててしまいました。
見つけた山菜
入山禁止の看板を見てしまったからには、本格的に山菜を採るわけにはいきません。基本的にカメラで山菜撮りをすることにしました。でも、好物の山菜にはちょっと手が出てしまいました。小千谷市小栗山には古くからの知り合いも多いことから、それに免じて、少しだけ採らせていただきました。
- カタクリ
雪消えの山に入った人を歓迎してくれる花(山菜?)です。片栗粉の名の由来はこの花にあります。この花は地中深くに球根をつけていて、この球根から、良質の澱粉が取れます。この澱粉が本物の片栗粉です。一般に売られている片栗粉はジャガイモ澱粉で出来ていますが、この本物の片栗粉は、和菓子の職人さんの話によれば、グラムあたり数万円だそうです。
- コゴメ
コゴミともいい、正しい和名はクサソテツです。雪消えとともに出てくる早い時期の山菜です。一株に5〜6本生えていますが、その半数を間引くように折り採るのがマナーです。今回は少しだけ採らせていただきました。
- ゼンマイ
地元の方が収入源にしている代表的な山菜です。採っても食べれるようにするには手がかかります。綿毛をとって茹でた後、天日に干すのですが、乾ききるまで何回ももむ作業が必要です。食べるためには、これを水にひたしてもどした後に、茹でなければなりません。ですから、写真に撮るだけにしました。
もし採るとすれば、株の中の「数の子のような胞子葉」のついたもの(じじゼンマイともいい、処理しても硬くて美味しくないらしいです)と2本くらいは残すようにするのがルールです。そうしないと、株が大きく育たず、年々収穫が減ってしまいます。
- ウド
一般に売られているウドは、これをモヤシ状に栽培したものです。区別する上で、山菜は「山ウド」ということがあります。芽が出たばかりのころは、前の年の枯れた茎がよい目印になります。あまり大きくなったものは考えものですが、数十cmの若いうちは茎も食べれますので、あまり幼いものを採るともったいないです。また、採る際に、移植ゴテのようなもので掘り起こすのは厳禁です。土を手で掘って、根の塊のような部分から生えている茎を鎌かナイフのようなものでサクリと切り取ります。1つの株から何本か出ていますので、半数くらいは採らないようにするのがルールです。
ウドは好物ですので、この日、10本ほど採らせていただきました。
- 木の芽
この地方でいう「木の芽」はミツバアケビの芽です。芽といっても、伸びはじめたツルのことです。20cmくらいに伸びた茎をほんの軽く力を入れて折れるところから摘み取ります。今回はすでに採った形跡があり、多くの収穫を望めそうもないので、カメラで撮るだけにしました。
「おひたし」にすると、歯切れのよさ、ほどよい苦味と甘味で、なかなかの逸品です。地元の方は、生卵にからめてクルミの粉砕したものをふりかけ、好んで食べます。
- その他
この他に、トリアシ(トリアシショウマ)、フキノトウ、ツクシなどを撮影してきました。トリアシは、その名の通り、鳥の足の形ににています。和え物、煮付け、おひたし等にして食べると美味しい山菜のようです。フキノトウは、細かくきざんだり、すり鉢ですったりして、味噌と和えて「フキノトウ味噌」にすると風味がよく、好物にしている人もいます。てんぷらにしても美味しいです。ツクシは節のところにあるギザギザのはかまをとって、おひたしにして食べます。
食べ方の一例
採った山菜を食べるのも大きな楽しみです。この日は、一日中、山歩きをして疲れたので、簡単な山菜料理ですませました。コゴメは、おひたしや和え物にするのが一般的で、さっと茹でて醤油味のマヨネーズ和えにしました。歯ざわりがよく、あっさりとした美味さがありました。ウドは、生のまま短冊に切り、味噌をつけて食べました。山の幸は栽培ものにない濃厚な風味で、とても美味しくいただくことができました。
翌日は、残ったウドを、茎の部分はクルミ和えに、葉の部分はてんぷらにしました。ウドの葉のてんぷらは、「タラの芽」のてんぷらより美味いという人も多いようです。茎の部分はキンピラが美味しいのですが、葉のてんぷらが食べたかったので、ややあっさりめの料理を考えました。
てんぷらは期待通りの出来でしたが、クルミ和えは、ウドを茹ですぎたこともあり、クルミ味噌(クルミと味噌をすり合わせたもの)の味にウドの風味が損なわれた感じでした。ウドの茹で方は、ウドの成長の程度により異なりますので、見極めに熟練を要します。生でも食べられますから、風味を大事にしたい場合は、軽くゆでることがポイントといえるかもしれません。
やはり茎は、料理経験の多いキンピラにすべきだったと思います。
我が家風ウドのキンピラの作り方を紹介しておきます。
- 短冊に切り、さっと茹でます。(さらに熱を加えていきますので、茹ですぎに注意。)
- フライパンにサラダ油をしき、細かくきざんだ鷹の爪(赤とうがらし)を少々加えて、強火で茹でたウドを炒めます。(ピリ辛は、鷹の爪を多めに。)
- 炒めながら、火力を徐々に弱めて、醤油、酒、味醂、砂糖で味付けをしていきます。調味料のバランスは好みに応じて調整していきます。(醤油を入れすぎると味の修正がききにくいので、少なめ少なめが肝要。)
- これでよいという味になったら、出来あがり。(出来あがり直前の火力は弱火。20分程度で調理が完了を目安に。)
おわりに
ここで紹介したしたことが、少しでも役立ってくれるとありがたいです。マナーを守った山菜採りで、山菜の宝庫といわれているこの地、そして、皆さんがお出かけになる野山がいつまでも豊かであってほしいと思います。
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