ガイガーカウンタ用液晶カウンタを作ろう
〜 プロジェクト ひとりでできるもん! 〜
Last Update: 23th, Apr, 2000
概要
ガイガーカウンタに液晶表示のアップカウンタ(カウンタ表示部)を取りつけ、ポリプロピレン製のペンケースに収めた例を示します。この例では、大きな音がする圧電ブザーに交換し、電源スイッチもとりつけていますが、ガイガーカウンタ本体の製作についてはガイガーカウンタを作ろうのページを、圧電ブザーと電源スイッチについては少し大きめのブザーに交換のページをご覧ください。
この通り、約19cm×7cm×3cm のケースにピッタリの大きさです。
カウンタ表示部についての説明
「 LCD 直読タイプ」のキットに含まれている「4・1/2桁周波数カウンタキット」には、次のものが含まれています。「周波数カウンタ」そのものを製作する場合は、スイッチ類、リード線、ケース等は別途用意します。
- メインカウンタをはじめとする各種半導体
- 液晶表示器
- 専用基板
- IC ソケット
- 各種コンデンサ・抵抗類
- マイクロインダクタ
- 電池・電池スナップ
- 説明書(ICM7224のデータ等を含む)
ガイガーカウンタの表示部については、説明書の中の「ガイガーカウンタ・アプリケーション」で説明されています。フルセットを利用した 1 分間、 10 分間単位の自動計測カウンタと、メインカウンタ及び液晶表示器のみを用いるアップカウンタのいずれかが作れます。この例では、後者のアップカウンタを選択しています。したがって、「周波数カウンタ」そのものは製作していません。
説明書によれば、「周波数カウンタ」としての基本性能は次の通りです。
- メインカウンタは、Intersil 社の ICM7224IPLで、最高動作周波数
25Mz(typ) の高速 C-MOS・IC
- 液晶表示器は、4・1/2 桁大型ハイコントラスト液晶表示器
[361002] (単位表示付)
- 低消費電力で、 5V 単一動作 7mA(typ)、電源は
006P 電池 (9V) で 24 時間連続使用が可能
- 基準発振源は、高性能プログラマブル OSC SPG8651B
で、完全無調整
- 測定範囲は、0.01Hz〜25MHz で、プリスケラ(オプション)使用で
1 GHz に拡大可能
カウンタ表示部の製作
製作にあたっては、添付されている説明書を一読してからとりかかりましょう。特に「ガイガーカウンタ・アプリケーション」の部分は要熟読です。余談になりますが、作者は、はじめ、よく読まずに、真剣に周波数カウンタの製作に取りかかっていました。途中でよくわからなくなったこともあり、あらためて説明書を読んで、なあんだぁ・・・アップカウンタを製作しよう・・・となった次第です。
カウンタ表示部(アップカウンタ)を製作するにあたり、「カウンタキット」に含まれている部品で必要なものは、次の 4 点だけです。
- メインカウンタ (ICM7224)
- 液晶表示器
- 専用基板
- IC ソケット
このため、含まれている部品の多くは不要です。
専用基板に、まず、ジャンパー線 2 本を取り付けます。つぎに、ICM7224
の IC ソケット (40ピン) と液晶表示器の IC
ソケット (50ピン) を取り付けます。このとき、液晶表示器の
IC ソケットは、 50 ピン分になるように、36
ピンと 14 ピンのソケットのパラレルにしている接合部(桟)をニッパで切り取り、組み合わせて片側
25 ピンのシングルラインのソケットを 2 ヶ作ります。接合部はニッパで簡単に切ることができますし、カッターで不要な部分を取り除くのも難しくはありません。
液晶表示器のソケットが ICM7224 のソケットとぶつからないように、ハンダ付けするまえに、仮に差し込んで向きを確認し、必要に応じて、接合部の切り取りをよりしっかりと行いましょう。
基板に部品を取り付けた図は、基板の不要部分が切り詰められています(後述)。
検出部(ガイガー)との接続・ワイヤリング
- 1. ガイガーカウンタから 5V を ICM7224 の
1 ピンに供給します。
- 2. 専用基板の液晶表示器の手前に 4 つ並んだ○印にきている端子を次のように接続します。
- いちばん左(ゲート)は、不要です。
- 左から 2 番目(カウントイン)は、 4.7KΩ の抵抗を介してガイガーカウンタの EX out に接続します。
- 3 番目(リセット)は、リセットスイッチを介して GND に接続します。
- 4 番目(ラッチ)は、 GND に接続します。 GND はすぐ右隣にきていますので、抵抗のリードで接続するとよいでしょう。
接続するにあたってダイオードを 2 本使いますが、1 本は GND から左から 2 番目(カウントイン)へ、もう 1 本は 2 番目から ICM7224の 1 ピンへ接続します。
この例では、各専用基板からリード線のみを出して、抵抗やダイオードを小さな平ラグ板にまとめて結線してあります。ラグ板にまとめず、どちらかの基盤に付属させる方法もありますが、説明書の接続部の回路図通りに部品を並べることができ、わかりやすいという利点があります。この例では、ケースへの格納(後述)において、試行錯誤を繰り返す過程で、接続部のパーツをまとめておく必要から生まれたというのが正直なところです。
表示部基盤からのリード線は裏側からのほうが出しやすいです。
3 本のリード線は、端子がきている基板の○印の位置から出すと混み合うので、左から
2 番目(カウントイン)は、基板パターンを見て
ICM7724 のピンの位置から出しました。
接続・ワイヤリングに関して、キットに含まれていないものを示しておきます。
- 4.7KΩの抵抗 1 本
- リセットスイッチ(押しボタンスイッチ) 1 ヶ
- 平ラグ板 1 枚
- リード線
ケースへの格納
なるべくコンパクトなものにしたいですね。今回の例ではペンケースに液晶表示部とガイガーカウンタ本体が横並びとなっていますが、これには理由があります。はじめ、他の食品容器に縦並びに収めることを試みたところ、カウントすると同時にリセットされる等のトラブルにみまわれました。重ねて収めることも試みましたが同様でした。試行錯誤の末、液晶表示器の基板の端子(
ICM7224 かもしれません)は、ガイガーカウンタの電源部からなるべく遠ざかった位置に配置したほうがよいことがわかりました。
試行錯誤の中でやってしまったことで生かされたことや、ペンケースに収めるにあたって工夫したことがあります。
- 液晶表示器の専用基板の不要な部分(下2cm、左2cm)を切り取り、小型化したこと
- 本来は乾電池を置くガイガーカウンタの基板切り取り部に、リセットスイッチや接続関係の平ラグ板を配置したこと
- 乾電池を端に配置し、液晶表示器の基板を乾電池に寄せて固定することにより、乾電池が動かないこと
- また、ガイガーカウンタの基盤も反対の端に固定することにより、電源スイッチを配置するスペースを確保したこと
- 圧電ブザーを蓋に取りつけることにより、大きな音を得ることができたこと
作動
計測の前には、もちろんリセットボタンを押します。電源を入れると、圧電ブザーがピッと鳴り、その瞬間に何か表示されますので、電源を入れた直後もリセットします。
計測をはじめると、検知部(ガイガー)の GM 管に放射線が飛び込む度に、圧電ブザーが鳴り、同時にアップカウンタの数字がカウントアップされていきます。
リセットスイッチにより、任意の時間の計測が可能です。ただし、時間は自分で計らなくてはなりませんが・・・。
さて、小型リュックのポケットにでも入れて、出かけましょうか!
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