NMW2000におけるIAAデモの報告書
新潟インターネット研究会
〜 Members ML および 8 月の例会で話し合われた内容から、特にイベント開催の立場より 〜
Last Update: 14th, Aug, 2000
新潟インターネット研究会(以下、NISOC)は新潟マルチメディアワールド2000(以下、NMW2000)において、IAAシステムのデモを行った。IAAシステムの課題や問題点については、主に別編のアンケート集計結果に譲り、本報告書は、このデモについて、イベントの開催という立場からまとめたものである。
IAAシステムのデモを行うにあたり、WIDEプロジェクトライフライン・ワーキンググループ(以下、WIDE)の全面的な協力を得て郵政省非常時通信研究室のサーバーをお借りした。また、(株)新発田ネットワークサービスからは、インターネットへの接続をしていただいた。また、新潟県高度情報化協議会からはデモをの機会と会場を提供していただき何かとお世話になった。記して御礼申し上げる。
- 期間
- NMW2000の開催期間中である2000年7月7日(金)〜7月9日(日)の3日間
- 会場
- NISOCの立場
- 主催者イベントにおけるインターネット活用紹介の一つである「生存者情報データベースシステム」に協力する。
- 内容と目的
- IAAシステムのデモを行い、同システムの普及と啓発を図る。
- その他
- 備考
- NMW2000においては、主催者イベントについて、他の一部も若干の支援をする。
- IAAのデモとして
- WIDEからサーバを借りることができ、サーバをたてて、実施することができた。
- PCと携帯iモードによる登録・検索を実施することができた。
- 登録・検索用PC4台のうち2台で、モバイルチーム(ノートPCとPHSカードを使用)を編成することにより、AC電源と電話線なしの環境でも出来ることをアピールできた。
- NMW2000というイベントの性格上、情報通信分野に興味がある来場者が多いことから、多数の協力が得られた。新潟地震の日や阪神淡路大震災の日ではなかったが、その日以上に多数の方に体験してもらえた。
- 開催中3日間の来場者数(16,641名)の約1.3%(約220名)から登録及び検索を体験してもらうことができた。
- 開催中3日間の来場者数(16,641名)の約0.9%(150名)からアンケートを得ることができた。
- 開催中3日間の来場者数(16,641名)の約17.4%(2,900名)にIAAのビラを配布することができた。
- NMW2000におけるNISOCの参加の仕方として
- IAAシステムのデモに専念することができた。
- 事務局が新潟県やソフトウェアセンターと徹底的に話し合いの場をもったことにより、NISOCの立場を明確にできた。
- 主催者イベントの協力として、NISOCとしてやりたい活動をするという参加の仕方ができた。
- IAAのデモの準備について
- サーバの内容に関する把握の遅れにより、準備や当日の運営に支障をきたした。(後述1)
- 準備不足が多々あった。(後述2)
- IAAのデモの運営について
- 接客に関する問題点(後述3)
- ブースのスペースに関する問題点(後述4)
- アンケートから見いだされる問題点(後述5)
- ML等で積極的なアナウンスをしなかったため、オンラインの登録・検索数が少なく、アンケートの回答は0件であった。
- IAAのデモ後の事後処理について
- 反省をはじめとする事後処理に関する問題点(後述6)
- NMW2000主催者にかかわることについて
- 前日日準備の全体が遅れていて、しかも搬入口にあたっていたため、IAAブースの設営作業は、17時近くまで開始できなかった。
- 活動団体紹介のパネル?がA4の紙であり、位置的にも入場者に読める代物ではなかった。MLでかなり時間をかけて検討した価値があったか疑問が残る。
問題点について、解決の方策や方途が見出せるものについては「→」以降にそれを記述した。
- サーバに関する問題
- 何ができるかが解らないと、準備の見通しが立たず、開催当日に配布するIAAのビラの原稿作成が遅れた。→できることについての情報を早めに得るよう、計画的に準備を進める。
- 開催日当日になってから、会場で修正等を行った。→事前に不都合のある部分を修正できるだけの時間的余裕がある期日までに、サーバが到着するよう手配を早めにする。
- Webのコンテンツが、有珠山・三宅島対応モードになっていた。見た目には、本運用か訓練かの区別がつかないのが問題になった。初日に日本語版のみ訓練を示す内容に差し替えた。
- iモード版でエラーが発生した。2 日目になって、CGI
から require されるファイルへのパスが @INC
に入ってなかったのが判明し、スクリプトを修整したら動作するようになった。
- iモード版が J-SKY 対応だろうと思ってたら、対応していなかった。
- 準備不足
- ISDNルータがうまくネットワークにつながらない。→前日準備以前にテストをして、設定作業を完了させておくことが可能である。
- ビデオテープに映像が入っていない。→事前のチェックが可能である。
- iモードの携帯端末がない。→今回はサーバの到着時期やNMWの特質から、やむをえない面があるが、今後は、早い段階で準備品目に加える。
- 事務用品(ガムテープ、ハサミ、鋲など)がない。→前日準備として必需品であることを認識する。
- マウスパッドがない。→Windowsにはマウスが必需品であること、パソコンの付随品であることを認識する。
- アンケート関係用品(筆記用具、下敷きなど)がない。→アンケートをとる際の必需品として認識する。
- 接客について
- 来場者(お客様)主体の基本的姿勢が不十分な場合があった。→正しいマナーや方法(接客の基礎・基本)を知り、意識して接客にあたるようにする。休憩時間に客の立場でブースを眺めて、自己評価してみることも一方法である。
- ブースの真ん前で長々と打ち合わせをしない。
- お客様に尻(背中)を見せない。
- 椅子はお客様が優先。連れの方にも座ってもらう。
- できるだけ通路の真ん中で立ち止まらない。
- 話を聞いていただいたお礼は、説明員以外の人も言う。
- 説明用の席(椅子)で作業をしない。
- ビラの配布の仕方や声のかけ方について、自己評価をもとに工夫してみる。
- 接客のプロになる必要はないが、前回の反省が生かされていない。→反省や報告書に残し、次回のイベントの前に振りかえるようにする。
- 接客になれていないこともあり、当日の体力不足が露呈した。→より多くの会員に協力してもらうとともに、2日目以降の個人のタイムスケジュールのようなものを作成し、負担が集中しないようにしていく。
- お客様に体験してもらう方法(特に入力)に統一性がなかった。→お客様の実態に応じて行うのが良く、統一する必要はないが、本人の入力にこだわらることなく、代行入力も考慮に入れておくのがよい。最初に検索結果の一例のプリントアウトを見せるのも一方法である。
- イベント後に気付いたことであるが、現在のIAAシステムの特徴を伝えられるサンプルデータを登録しておくとシステムを理解してもらう上で有効と思われる。→例えば、同一人物で、日がたつにつれて状況が変化するものなどを事前に入力しておき、最初に検索結果の一例として見てもらう。
- 2 日目以降は端末が満員御礼状態になることが多かったので、調整しながらの誘客であった。→端末の数を増やすか、アンケートにこたえていただく方にはは別の席に移っていただき、端末を効率よく使うようにする。
- 絶対的端末不足で直接体験してもらえない人には、間接体験という方法も考えておく必要がある。→体験の様子を大きなディスプレイに映して見てもらうことも一方法である。
- モバイルチームにおいては、誘客や何人かをまとめて説明する工夫があってもよかった。→PA(ハンドマイク)を準備する。
- しばらくブースを離れるときは、その旨を誰かに伝えてからにする。→運営に携わる一員として、勝手な行動をしないという自覚をもつ。
- ブースのスペースに関する問題点
- チラシ類の管理、ポップの製作、個人的ホストを追い出す等の点から、バックヤードが必要。→可能であれば、ブースの後ろの壁に穴を空けてもらう。または、主催者行事に協力しているのであるから、管理や制作のための主催者控え室を確保してもらう。
- となりのブースにはみ出していることがよくあった。→大きなトラブルになってもおかしくない状況であるので、今後、意識的に注意を払うようにする。
- アンケートから見いだされる問題点
- 携帯電話(iモード)からの登録は1件であった。→NMW2000のようなイベントでは、携帯電話(iモード)の端末の準備を早い時期から計画的に行う。
- 登録項目の中で、「通称」と「キーワード」の違いがヘルプ(リンクによる説明)ではわかりにい。→WIDEに改善を望む。
- 「このようなシステムを利用する場合、問題だと思うところはどこですか?(複数回答可)」の問いに対して、「電源が確保できないのではないか」をはじめとする、災害時の稼動を憂慮する声が多い。→モバイルチームのさらなる活躍やIAAのビラ、体験者への説明などを通して啓発が可能である。また、この問いに対する自由記述の多くは、デモのやり方いかんにより解決できるものが多い。
- 「改善すべき点や追加すべき機能についてご意見をお願いいます。」の問いに対しては、検索した情報の確かさや精度を問う記述が多く見られる。→WIDEに協力してもらい、実際に本稼動した事例やこれまでの訓練をもとに、明らかにしていくことが望まれる。そして、その結果を普及・啓発活動で生かす。
- IAAのデモ後の事後処理について
- 準備段階だけ力を入れずに、事後の割り振りは予めやるべきであった。→報告書のリリースでイベントが終了するという認識をもち、準備段階から計画的な仕事の割り振りを考えるようにする。
- アンケートの集計
- アンケートの考察を含めたアンケートのまとめ
- イベントの反省
- イベントの反省に基づく報告書の作成
- 借用した機材のお礼(今回の場合、サーバのお礼)
- 会計報告
- 電子媒体で保存しておくものを明確にする必要がある。→今回のように、サーバなどの借りたものについては、交渉をした際の記録や送り状などを残す。これらの情報を内部資料として記録することで、交渉のノウハウを共有できることと、組織として外部に対応できる利点がある。また、ルータの設定も残すようにする。
- IAAのデモとして
- IAAは、官というか行政サイドでプロモートして欲しい。実際IAAコーナーで体験してもらった人に行政の方がいた。行政サイドの協力云々という話をしたら、ぜひやりたいと言っていた方もいた。
- 実際、地震で避難所生活どうこうという話になれば、阪神大震災の例を引くまでもなく、行政とボランティアの協力は必然的に必要なのだから、行政サイドこそが、積極的に訓練に参加すべきなのかも知れない。
- 体験をお願いした人の中に、「名前を入れて、どうするんだ、君たちはどういう団体だ、名簿屋に売るんじゃないのか」という意味のことを言って、結局協力してくれない人もいた。こういう人の疑いを解くためにも、技術的には(ソシアルエンジニアリング対策まで含めた)セキュリティ対策、制度的あるいは政治的には行政サイドからのオーソライズが必要なのではないかと思う。
- NMW2000について
- NMWはこれで終わり(?)だが、NIINA とソフトウェアセンターには、もうちょっと、何か面白いことをやって欲しい。
- NIINA は産・学・官の協力を謳っているが、実際には新潟では学が弱くてリーダーシップを取れないし、官ははっきり言って及び腰、産は一部を除き不景気である。
- NIINAもソフトウェアセンターもうまく機能しているとは言いがたい。展示会の出展社が減っていくようでははっきり言って困る。
本報告書が、今後のIAAシステムのデモに役立つ資料となることを期待する。NMW2000に類似したイベントは全国各地であるので、その際には、IAAシステムのデモを他の団体で手がけていただけると有り難い。
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